本日のお昼頃の事件です。「東京都銀座のビルで商談中に、30億円相当のルビーの原石が盗まれた」という通報が警察に入り、捜査しましたが、実際は「盗まれておらず、商談に立ち会った所有者の女性が持ち帰っていた」ということだったそうです。どこにどういう間違い(勘違い)があったのか? そこのところは謎なんですかね。しかし、興味深い事件が起こったと思います。
何が興味深いか。ミステリーといえば、基本は殺人事件ばかりで、盗難事件がメインのものはほとんどありません。なぜかはわかりませんが、「30億円相当のルビー」なんていうのを出してきても、嘘くさいと思われてしまうんですね。「現金100億円」とか「金塊10トン」でも同じ。それよりも、確固たるアリバイを作って殺人をする方が受けがいい、というのはどうなのかと。計画殺人の方が、よっぽど嘘くさいと思うんですけどねえ。
でも今回の件で、「高額な宝石の盗難事件」は現代でも起こる可能性がある、ということが認知されたかもしれません。それまで同様の盗難事件は「マンガやアニメの中だけ」「江戸川乱歩の作品の中だけ」「ハリウッド映画の中だけ」という認識だったのではと思います。これで筆者も堂々と、盗難事件を主題にした作品が書けるかも!
と、快哉を叫んではみたものの、実際のところ、盗難事件(あるいは詐欺事件)だけで長編を持たせるのは難しいと思います。盗難あるいは詐欺があった、警察が捜査をした、ところが犯人と目された人物が何者かに殺されていて…としないと、謎が深まらないんですよ。もしどうしても「殺人事件なし」にするとしたら? それは二つ以上の盗難&詐欺事件を組み合わせる必要がありますね。別々の事件として捜査をしていたら、実は根っこはつながっていて…とする。そこに被害者と犯人の複雑な関係がある(Aの事件の犯人がBで、Bの事件の犯人がA)などとすると、捜査が混乱すること必定です。まあ、昔よく使われたパターンですけどね。
でも、ちょっと考えてみてもいいかと思います。