今書いている長編ミステリーは、推敲も最終段階に入っているのですが、実はまだタイトルが決まっていません(笑)。殺人事件ではないので「○○殺人事件」とはできません。まあ、殺人事件を書いてもそんなベタなタイトルにはしないつもりなのですがね。かといって、ストーリーの核心に触れる(ネタを割る)ようなタイトルにもしたくない。夏頃の話なので、「夏」を入れたいなあ、と思うくらい。あと過去のエピソードに基づく人捜しなので、何かノスタルジックなキーワードを入れればいいかな、とも考えています。なおかつ、クサくならないようにしたい(笑)。文学賞の過去の受賞作を見ても、「響きはかっこいいけど、よく考えたら意味が通ってない」みたいなタイトルはたくさんあります。おかしなタイトルで受賞したら、刊行時にいいのを考えてもらえるみたいですけどね。あ、後は、短いタイトルもNG。他の人と重なってしまうかもしれませんから。
そういえば、どこかのブログだか掲示板だかに「長いカタカナのタイトルは避けよ」と書いてました。要するに外来語をカタカナ表記したものですね。これはたぶん、意味が取りにくいからであろうと思います。響きがいい外来語というのは、あまり耳慣れないもの、即ち世間に意味が浸透していないものが多いというわけ。となると、逆に「難しい漢語(漢字)のタイトル」も避けた方がいいんでしょうね。同じ理由で。
他に気を付けたいのは「文語」。これも、響きがいい語です。なぜでしょう、格言みたいな感じになるから? そういえば、過去の乱歩賞受賞作に「左手に告げるなかれ」(渡辺容子氏)というのがありますが、「なかれ」だけが文語で「告げる」が口語です。全て文語にするなら「左手に告ぐるなかれ」とすべきだろう、という指摘があったそうです。
さて、これらに気を付けるとして、タイトルを考えなければなりません。平易な言葉を用いて、それでいて印象的な響きの言葉を作り上げる。子供の名付けに似ています。そりゃ、作品は我が子のようなものだから当然か。でも画数は気にしないでおきます。あれ、何の根拠もない迷信ですから(笑)。それより自分の中にある感性の方を大事にしないと。