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探偵のライバル

推理小説には、探偵のライバルが登場することがあります。基本は、犯罪者ですよね(笑)。ホームズに対するモリアーティ教授のような人物です。モリアーティ教授は「最後の事件」のみに登場し、他のいくつかの作品に名前だけが出てきますが、それでもライバルとして確立されているのがすごい。モーリス・ルブランがルパン・シリーズの中に、勝手にホームズを(エルロック・ショルメという名で)登場させましたが、ホームズ・ファンからすれば、ルパンはライバルとみなされてませんから。

さて、犯罪者以外のライバルでは、探偵が出てくることもあります。謎を解くのを競い合う立場の人物ですね。たいていの場合、推理合戦で主人公に負ける、あるいは一歩及ばない、ということに終わるはずです。「両雄並び立たず」という言葉どおりです。そりゃ、読む方もどっちに肩入れしたらいいのかわからないんじゃ、困るでしょうし。

もう一つ面白いライバルの登場のさせ方があって、それは「事件以外のところで争うライバル」です。一例を挙げると「恋敵」。つまり、主人公と恋人を巡って争う役割。もちろん、恋人は事件の当事者ではなく、第三者的な人物(例えばワトソン役)がいいでしょう。ライバルは事件を最後まで解決するわけではないが、重要なヒントを掴んでいる。探偵はそのヒントがないと事件を解決できそうにない。そこでライバルは「お前の恋人とデートさせてくれたら、事件を解決するヒントを教えてやる」などと言い出すのです(笑)。探偵は事件以外のことで悩まなければいけないわけで、これはちょっと面白いシーンが書けるのではないかと。

とはいえ、あまり恋愛要素をたくさん入れすぎるのは、ミステリーとしてはよろしくないのですよね。ヴァン・ダインの二十則(第3項)にも「不必要なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。(以下略)」とあります。もちろん、筆者が書くときも、ちょっとした味付け程度にとどめるつもりです。

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