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中間報告

長編ミステリーにはある程度「構成」というものがあります。起承転結というよりは「物語のどこで謎が提示されるか」「前半でどれくらい謎が解決され、また新たな謎が提示されるか」「後半のどこから解決編が始まるか」「サスペンスは入れるか入れないか、入れるとすればどこか」などです。で、ここで前半・後半という言葉を使いましたが、物語の折り返しポイントというのを明確に存在させるのがよいとされるのです。起承転結の承と転の間、三幕構成のミッドポイントのことです。で、「ここが中間点ですよ」とわかりやすく示す方法というのが存在していて、それが「事件の中間報告(まとめ)をする」です。

テレビドラマで特に殺人事件が起こるミステリーでは(殺人事件が起こらないミステリードラマはめったにないですが)、例えば警察が探偵役である場合、会議室のホワイトボードを前にして「事件のあらまし」「容疑者、関係者の列挙」「わかったこととわかってないことの整理」「次の捜査方針の指示」が行われます。素人探偵が主人公でも、事件の依頼者や重要な関係者と会って、同じような報告をやります。何のためかというと「事件の解決の方向性」を確認なのですが、それは登場人物だけでなく、読者・視聴者に対しての確認でもあるわけです。

小説はテレビドラマよりも概して長いですから、注意深く読んでいても、最初の方に書いてあったことは忘れがちです。特に「わかったこととわかってないこと」はメモでもしないとたいていの人は忘れます。主人公単独視点で進むのならまだわかりやすいですが、これが多視点になると「主人公は知らないが読者が知っていること」というのがあるので、その整理が必須でしょう。これを「神の視点」でやるのは(現代では)当然ダメで、主人公がやるのですが、やり方は一つのポイントです。警察の場合、「捜査会議」という体でやるので自然にできますが、その分マンネリです。その点、素人探偵の場合は工夫のしがいがあります。「どこで」「どんな形で」それをするかに「斬新さ」を出せばいいわけです。とはいえ「まだやられていないパターン」というのはもうほとんどないと思いますので、「喫茶店で」などというありきたりのものさえ避ければいいかという程度でしょう。

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