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後半のダメな展開

新人文学賞の書評を読んでいると、毎度のように同じような指摘が現れます。物語の後半の展開について。ダメなパターンというのがいくつかあるんですね。察するに、多くの人は前半のプロットはきっちり立てることができるのでしょう。魅力的な謎も設定することができるし、それを追う展開も書ける。しかし最終的にどうやってその謎を解決するか?となると急にダメになることが多いと。

ダメパターン①:解決編で延々と謎解きをする。たとえ本格であっても、この展開はもはや古いようです。プロ作家で、固定の読者が付いているような人ならいいのでしょうが、新人賞を狙う作品であればダメだと。となると、物語の後半で順次謎を解いていき、解決編(起承転結の結)で最大の謎一つ(か二つ)を残すのみ、みたいになっていないといけないということになります。その謎を解くと、他の不明点はぐだぐだ説明する必要もなく明らかになる……これはかなりハードルが高そう。

ダメパターン②:主人公が急にスーパーマンになる。それまで全然ダメダメだったのに、解決編のみ突如推理が冴え渡るとか、スパイさながらのアクションをこなすとか。エピソードを盛り込みすぎて、最後に枚数が足りなくなったので大慌てで回収しないといけない……というのでそうなるのではないかと推察します。あるいは合理的な解決方法が思い付かないので力技を使ってしまうとか。謎は単に作るだけでなく、その解き方もセットにして考えないといけないわけです。以外に難しいものですよ。

おそらくは、ミステリーというのは「起承転結の結で全ての謎を解けばいい」という思い違いから来るのでしょう。知恵の輪を想像すればいいと思いますが、解くには一つ一つピースを外していくものです。動かしているうちに複雑化しているように見えても、実は解いている途中であって、後半に入る頃(起承転結転)には半分くらいピースが外れていないといけない。一番キーになるピースだけが最後に外れるというのが優秀な知恵の輪でしょう。

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