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好きなことを書く

長編ミステリーの中に、筆者の好きなことを書いています。好き勝手なこと、ではなく、趣味の話。以前に自身で経験した、あるいは他の人から聞いたエピソードを盛り込んでみたり。そういうことをしていると筆が進みますが、困ったこともあります。「どれくらい詳しく書けばいいか」がよくわからないのですね。好きなものですから、筆者自身は詳しく知っています。しかし、一般の人が読んでもわかるように書かないといけない。それにはどこまで話をブレークダウンすればいいか? 全く知らない人でもわかるように書こうとすると、冗長になってしまいます。ミステリーですから、ストーリーの中でそこだけが浮いてしまうんですね。それはもちろんいけない。ではどうするか。

いいやり方が一つあって、「よく知っている人」が「よく知らない人」に説明しながらストーリーを進めていく。後者が「それってどういうこと?」などと聞くと、前者が「それはこれこれで」と詳しく説明を始める。それでいいんですが、問題は書いている筆者は前者と同じ立場だということです。後者の人の立場になるのがとても難しいのです。「知らない人って、どの程度知らないのか」が、もはやわからなくなっている。だから「仮想泥棒ゲーム」でアメリカンフットボールのシーン(特に試合中)になると、いきなり専門用語が炸裂し、解説もほとんどありません。「そこは、よく知っている人が読むところ」という書き方をしているからです(もちろん、これについてはわざとです)。

公開よりも前に読んで、感想をくれる人がいればいいんですけどね。プロの作家なら、編集者がその立場になるんでしょう。「ここはもっと詳しく」とか「この程度は書かなくてもわかります」などとアドバイスしてくれそうです。あるいは、二人組の作家で、趣味が全く違うとかならやりやすそう。小説指南本にも「家族や知人に読んでもらえ」と書いてあります。それができないとなると、頭の中でもう一人の自分を作り出すしかありません。好きなことを書くというのも大変です。

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