小説やドラマではなく、マンガを読んでました。寿司マンガ。寿司の腕前で対決するとかではなくて、寿司屋の中での人間ドラマが描かれているのですが…何か、大将が超能力者なんですよね(笑)。客の何気ない一言とか仕草から、何を食べたがってるか当てて握ってしまう。あるいは客の悩みを当てる。客も驚くし、他の寿司職人も驚く。「日常の謎」の世界ですよ。でも根底には、昔ながらの江戸前寿司のやり方を、親方も客もわかってる、というのがあるみたいです。
同じようなことが、そば屋でもできるんじゃないですかねえ。要するに江戸っ子どうして昔を懐かしがってるということでしょうね。にぎり寿司やそばは、江戸以来、東京が誇る素晴らしい食べ物という自負があるのではないでしょうか。まあそう思うのは東京の人の勝手ですけど、「本物は東京にしかない」みたいに思い込まないようにお願いしたいものです。
さて、そういう寿司屋って、行きたいと思いますか。「何も言わずとも、互いにわかり合うのが“粋”だ」と思ってらっしゃる方は、ぜひ行けばよいと思います。しかし、筆者は嫌ですね。こっちが何も言わないのに、全部相手にわかってしまうなんて。サイコメトラーを相手にしているようなものです。下手したら、弱みを握られるかもしれないんですよ? もちろん、食べ物屋の店主が探偵役を務める「日常の謎」は多くありますけど、それは客が探偵にいろいろと話をしてから、探偵が推理を披露するんです。寿司屋だけが、違ってます。しかもそれが個人の特殊な能力じゃなくて、長年寿司職人として修業をしてたら自然と身につく、みたいに描かれてますから、寿司の修業って読心術のことかと(笑)。それこそミステリーという気がしました。