人は怠惰だ。
課せられた任務が近づくと、心は収縮してしまう。
そして、怠惰な人間は思い、嘆く。
『嗚呼、朝日なんて来なければいいのに』と。
長い髪の女は玉座に座りながら一点を見つめたままだ。女の前に現れた男性は、女を見てイライラしていた。
「チッ……アイツが黒幕の親玉ってわけかよ。独りで座ったまま微動だにしない……だと」
「あら? 朝を迎えてひよっている人間は、5万と見てきたわ。俯き、とある一点ばかり見ている人間、耳に物を挟んでリズムを取る人間……同じ制服を着て会話をする若者……」
「多くの人間を見ても、貴様はその席を立って去ろうとはしないつもり……だな?」
「えぇ。私は誰が来ようとも、この玉座を立つ気はないわ。たとえ、勇者である貴方が、魔王である私を殺しに来ていたとしても……ね」
「う、うるさい!! 貴様が生きてこの玉座に座っているだけで、何人もの人間が困っているっ! 明け渡してもらうぞ……その席っ」
勇者は剣を構え、魔王である女に突きつけた。
「あら? 物騒な物を振り回すだなんて、いけない子ね……お仕置きが必要かしら」
「なっ……まだ座っているのに、その覇気……ま、前に進めねぇ……」
勇者は魔王の覇気に圧倒され跪く。
「勝てない……どうすれば、どうすれば、魔王を玉座から立たせられる……くそぅ……」
【ご乗車ありがとうございました。次は大阪~大阪~】
「あら……もう?更新ボタンを押して電車おりないと」
そして魔王は、カクヨムの更新ボタンを押した後、電車から降りた。
本日の転生くんかくんか更新分↓↓
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