『幽霊と私』を読んでいただき、ありがとうございます。今回の近況ノートでは、『幽霊と私』の伏線及び解説についてお話しようと思います。
~伏線~
・第一話にて、カノが自身の過去について語る時に他人事のように語っている
以下本文《》を付けたところが伏線です。
「今でも思いだすよ。あの日々を、あの瞬間を。段々首が閉まって、苦しい、苦しい、苦しいって思いながら助けて、助けてって。自分で死のうと思ってやっていたことなのにさ、《最後の最後に及んで死にたくなかったらしいの。》首に掛かった紐を掴んで、必死になって、目が霞んできて、やっぱり死にたくないという焦りがあってさ、何で私がこんな目に遭わないといけないんだろうって・・・ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、《今でも憎いと思うし、後悔していると思うの》」
→《》の部分がおかしいですよね。自分の事であるのならば、言い切ると思います。これによって、この話が自身の話ではないと分かります。一応、カノの独白でそのことについて語っているので、もう一回読んでみて下さい。
・所々、カノが生きているという描写がある
本文中、「寒いから暖房を付けてほしい」、「部屋に入らないのは、臭いがきついから」、「お腹が空いたから、ポテチを食べる」などの明らかに生きている人間しか感じないような感覚があります。極めつけは、カノが私の肩に手をのせる所で、「私の冷たい体に温かみを感じた。」という描写です。本当にカノが幽霊であるならば、「私の温かい体がひんやりとするのを感じた」のような描写になると思います。しかし、逆です。これは、私が生者ではないことの伏線というか、示唆しています。
・影がまっすぐ伸びている
さっきの話と被ってしまう可能性がありますが、いきます。カノが、幽霊がいかに大変かという話をしている時、夕日が差し込んで一つ影ができます。私は、自身の影だと思い込んでいるようですが、影は真っすぐ伸びています。この時、私はベッドに座っています。カノは立っています。この状況では、どちらの影がまっすぐ伸びるのかわかりますよね。(正直ここは表現が悪かったかもしれないです)
自分が忘れているだけで、伏線があるかもしれないですので、もしかしてと思うところがあれば、教えて下さい。
~解説~
この作品は、「保身」を主題としています。私は、チトセの「保身」のためにいじめられ、親は私を殺した(と勘違いした)ため「保身」に走り、私は親を殺してしまった(と勘違いした)ため「保身」に走ります。さらに、カノが兄の死んだときに「保身」に走った女。カノはその時から女の金切り声をひどく憎むようになってしまいます。そのため、偶然聞こえてきた私の母親の声をきっかけにこの話の悲劇は始まりました。また、兄の死体を見たことが鮮烈に残っており、心の中で清算されることはなく、暴走した結果が今のカノです。カノは自分の中にある「美しい死に方」を他人に勝手に押し付け、実行しています。たぶん、この先も・・・
しかし、チトセも勝手な人物ではあります。彼女のしたことはさらっとしか書いていませんが、中々ひどい事をしています。謝った所で、とは思います。彼女は私に会いたくないと言われ続け、それでもめげずに彼女に会おうとしました。しかし、仮に私と彼女が和解したとしても状況は変わりません。本当は自分が悪いと言うところをクラスの人に言わなければ、誤解は解けません。彼女は謝るだけでいいと思っているのでしょう。
私に関してですが、私は考えない人です。本文中におかしいところなどいくらでもあったと思います。読んだ人ならば、気付いた人も多いでしょう。私は、本当は気づくべきなんです。だけど、私は考えることをしないまたは無関心に生きている、ため気付く事がなかったのです。作者も言えることではないですが、これは暗に現在、過去もそうですが、考えずに生きる人たちを描写しているつもりです。おかしいと思わない、関心がない等・・・目の前におかしなことを突きつけられても、受け入れるだけで考えようとしないという意味も込められています。
・・・と以上になります。途中から自分でも何を書いているのか分からなくなってしまいました。誤字脱字ありましたら、お知らせください。また、ご意見や、こんな解釈していました、というのがあれば教えて下さい。