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『山の都』『召喚システムとカレンとエル』『システィーナ』『各話タイトル』について

 日頃連載にお付き合いいただきありがとうございます。
 
 以下は本編のカレン視点では出せない設定になります。
 去年の6月頃から最近までTwitterで呟いていたものを整理しました。
 『遺跡』や『召喚』など、まだ本編で出す部分があるものは記していません。
 世界設定は自己満足の部分になるので「こんな感じなのかぁ」くらいの感覚でご利用ください。
 ただここを読んでおくと、今後ちょっと「お」となれそうな外伝を書き下ろす予定です。


『山の都』について
 本編180~181話
■前提■
『山の都』は滅ぼされた国で四妃ナーディアと侍女サンドラは「子孫」です。時間の経過と共に真実は埋もれていますので、本編ではぼかした話が多くなりました。
 そして転生者、あるいは読み手にとって『山の都』は悪い風に見えるかもしれませんが、
「戦争もなく、人々が他人を認め合うことができ、職の選択が自由であり、貧富に差が小ない。大多数が幸福に生き国が栄えている」のが「良い国」だとすれば山の都は間違いなく「良い国」です。
ただ国のひずみは「御使い」に偏っていましたけれど。

 すべての「御使い(=転生者ですが、以下御使いで統一)」が不幸だったわけではありません。
 『山の都』に召喚された「御使い」は目が覚めたら、必ず容姿端麗な子供として生まれ変わっています。年齢は4才~様々ですが、大体が十代前半頃の未成熟な子供の体。彼らは転生後、人々に崇め奉られ、働かず、衣食住すべてを保証され暮らせます。
 山の都が御使いを信奉してたのも本当であり、王や神官達は「御使い」が不自由ない暮らしができるよう最大限配慮しました。
 ですので中には「転生恋愛ファンタジー」をして結婚し生涯幸せに暮らした御使いもいます。
 
 ただし上記は王や神官らの望む「条件」を果たせた御使いだけです。
 王や神官らが望むのは「異世界の知識」。つまり国民がより良い暮らしをするための知識を伝えられる人物。医療や農耕技術は特に重宝されました。
 
 これらを獲得するため、裏では頻繁に召喚が行われていました。しかし回数を重ねれば問題も発生します。知識を伝授できない人や、異世界転生をいいことに好き勝手しちゃう困ったさんは「いなかった」ことにされました。
  
 本編ではぼかしていますが「自由に生きたい」的な御使いも当然いました。運良くちょっとしたミスで転生後も発見されず、様子を伺うため隠れていた人もいます。でもおせっかいで技術などを伝えた結果、見つかり隔離された逸話が最大限曲解されて伝わったのが本編で
 サンドラの語る「御使い様は悪戯好きなのか、時には私共になにも言わず民の暮らしを見守っていた方もいたのです。その場合もすぐにお迎えし、王宮においでいただいた」の部分ですね。
 当時の神官が隠れていた御使いを捕まえた後「これはなんて後世に伝えれば…(・ω・`)」と頭を抱え「そうだ、市井に隠れて民を見守っていたことにしよう」とした結果です。物は言いよう。

 さて、上記が御使いの話になりますが、以下からはもう少し真相に近付きます。
 極一部しか知らない召喚の真実ですが、本編の通り本来の「御使い」と転生者を召喚する「神降ろし」は違います。
 事実初代「御使い」は転生者ではありません。
 この人だけは真実異世界「転移」人であり、なんらかの事故で異世界に転移後、仲良くなった人や精霊と集落を作り、そこから『山の都』に発展します。そういう人物なのでモテました。
 とはいえただの人間ですから、この人の没後、残された「精霊」が再びこの人に会いたかったので、仲間の協力を得て「異世界人」を呼び寄せる術式=儀式を完成させます。
 人ではないものに人間の倫理観などありません。
 
 しかしこの儀式も精霊が求めていたものにはなりませんでした。本来は没して後「元の世界に帰れずこの世界に漂っているはずの初代を復活させる」儀式でしたが、肝心の初代が蘇らないのです。「異世界人の魂を呼び寄せる」部分だけが特化しました。
 
 ですがそんな間違いは彼らにはわかりません。初代に会うために儀式を続けるも、年月の経過とともに、今度は人の意識が変化しはじめました。段々と初代を知らない世代が増え、「御使い」は愛しい隣人ではなく利用するものだと認識していきます。
 これに失望したのは精霊でした。かつて友人だった人の子孫たちの変化に耐えきれなくなったのか、初代に会えないためか、それとも他の理由があったのか、精霊は山の都から去ります。
 召喚システム作っておいて、とも思うでしょうが、去ったものは去ったのです。
 そうして精霊すら去った山の都は、ブレーキがなくなったので高速道路をアクセル全開で走り出すが如くスピードを出します。あとは駆け抜けるのみですね。結末:事故る。
 こうして御使いを都合よく利用するシステムが構築されましたが、彼らは秘密にこだわりすぎました。そうしているうちに世界から精霊が姿を消し始め、神秘は衰退しました。「御使い」を召喚できる頻度も減り、初代の方針か元々農耕国家だったのもあり、大陸で段々と台頭してきた帝国に侵略されます。
 数の暴力(帝国)には勝てません。


■「御使い」召喚儀式の詳細■
 召喚する魂はランダムです。選べません。
 「御使い」が「器」に入ると同時に「器」の魂は消失します。これは「器」に幼い頃から教育(思想・魔力面含む)を施しているためです。養育した「器」の魂の消失が早いのは自分から御使いに体を明け渡すからですね。
 また本編中はわかりやすくするために母親表記にしましたが、身内あるいは「器」を大事に思う人がいれば、「器」の魂の消失と同時にその人の脳から「器」だった人の記録が消失します。要は「器」に拘る人がいると厄介だから記憶を消してしまおう、という算段です。このため母親のみならず、父親や友達が記憶なくすパターンもありました。これらは術式が召喚式に組まれています。
 この記憶消失は器も家族も納得済みです。
 現世に未練がない状態なら魂も早く消える⇒御使いが器を得る⇒国は知識を得られます。
 「器」は孤児が多かったですが、「御使い」になれるのは光栄であり、大事な人や、あるいは家族の生活が保証されるので、孤児でなくとも進んで「器」を志望した子もたくさんいました。「器」に選ばれるとは光栄なことだったのです。
 このため双方現世に執着もないので記憶喪失はほぼ発生しません。
 また、魔法陣で「どこ」に御使いを降ろすか指定もできるので、用意された「器」に魂を落とせる場合がほとんどでした。

 
■カレンとエル■
 カレンの場合は十四まで「器」の魂が存在していました。母アンナは「器」の元の子を知っていたわけではありませんが、無意識下で「同じ子供」として混同しながら認識しています。このため「器」の魂が限界を迎え消失したと同時に記憶を失いました。
 ではなぜエルの両親は記憶を失っていないのかという話になります。
 こちらの場合は単純で、そもそもエルが強力すぎました。「お腹に宿った瞬間」から入れ替わりは果たされたので、記憶を失いようもありません。

 彼女らが帝国ではなく「ファルクラム」に「神降ろし」を果たしたのは「魔方陣の欠け」が原因です。召喚のための詳細な蔵書がほとんど燃やされ記憶を頼りに魔方陣を作成した結果「指定場所」と「誰に」の記載がないまま作動させたため、遠方の国に二人は【召喚】されました。


■『システィーナ』■
 結論を先に書くとシスティーナはシスを庇おうとして殺されました。
 時間で言うとシスが眠りについてちょっとしてからです。
 これはオルレンドル『帝国』発足前の話となります。このため、そもそも彼女は皇帝になっていません。なる前に亡くなって箱にドボンです。
では誰が帝国を発足して「システィーナ」を名乗ったかと言えば彼女そっくりの身内です。
いわゆる成り代わりですね。
 シスは半精霊であり、そもそも人の争いに関わるのが好きではありませんでした。システィーナもそういうシスを愛しました。ですから国が強力になりつつある最中、彼女の身内が姿を現していたこと、システィーナ自身が国で地位を築いていても、シスを心ない人々に利用されたくない、精霊を戦争の道具にしたくない気持ちが強く関わらせませんでした。外伝中のシスの語りはかなりぼんやりしていますが、あれがそもそも精霊の側面が強かった彼が「人の争い」に興味がなかったためです。
 そして『箱』の中。
 シスは目覚めてすぐに息のないシスティーナを発見していましたが、認められずに「見なかったこと」にしました。大事な人が死んだこともですが「必ずシスティーナが助けてくれるはずだ」といった希望も込められています。
 この時点で大分アレなのですが、そのあとも緩やかにおかしくなって発狂しました。
 外伝はあくまでシス視点なので、彼が見たくないものは見えていません。

 そして当時のシスとシスティーナには仲間がいました。
 二人が姿を消したので、彼らは当然訝しみます。
 ですが彼らに怪しまれるのは承知の上だった者がいます。システィーナを手にかけた犯人です。仲間達は先手を打たれたのと、すでに『箱』が完成間近だったため対応はすべて後手後手になりました。できたのは命が狙われる前に逃げるか、口封じされるかのどれかでしたが、とある二人は別の決断をしました。犯人と接触、共謀すると見せかけて信頼を勝ち取り、その後は『箱』には手を出せずとも、それを支える台座がいつか壊れるよう細工を施した…が、ざっくりした流れです。
 ※実際大分後だが台座が崩れ『箱』が壊れたことで『シス』が出現。
 
 当時の人間関係など色々ありますが、このくらいとなります。
『遺跡』についてはまだ明かせるものがありません。


 
■『各話タイトル』について■
 Twitterで更新する際は大体一言添えています。
 直近分はこちら。※は誰の台詞になるか、となります。

263、見えなかったのは他でもない僕- 認めることが出来ず
※シス
262、今度こそ心からのおやすみなさいを- 私の親友に贈る
  ※カレン
261、たとえ届かずともこの愛は本物であり- 焦がれたのだ
  ※リューベック
260、もう一度友を殺めるため- たすけて、といわれた気がした
※カレン
259、■■し■■■い■かっ■の■■■■よ■■て- 本物はいない
  ※『エル』
258、孤独はもう嫌だと恐れている- 「またあの闇に落とすくらいなら、いっそ存在ごと消してくれ」
※シス
256、疾くあの女を捕らえよ、と男は叫んだ- カール皇帝発狂案件
※カール


■他■
 ラノベ人気投票『好きラノ2021下』で『転生令嬢と数奇な人生を1 辺境の花嫁』は2021年下半期新作部門第5位となりました。
 投票してくださった方々、ありがとうございました!

 2巻の予約はじまりました。
 早川書房公式note:https://www.hayakawabooks.com/

 しろ46さんのファンアートまとめ(pixiv):https://www.pixiv.net/artworks/95912109
 昨日はシスのイラストが新たに増えていました。たくさんイラストが見られて嬉しい限りです。イラスト自体はしろ46さんか作者Twitter(@airs0083sdm)のRTでお知らせしています。
 リアルタイムでかなり早く描いてくださるので驚きます。黒鳥大きいverが一番驚き、いそいでイメージを伝えたりもしています。pixiv版は修正されています。
 
 皇位簒奪編はそろそろ終わりを迎えます。
 その後はライナルトとカレンの関係性に決着をつける最終章を投下し、本編は終わりとなる予定です。
 本格的な連載開始は2020年3月からでしたが、初話投下から2年を迎えました。どうぞ最後までよろしくお願いします。



 かみはら  拝

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