新年明けましておめでとう御座います。
早いもので2024年が終わり、2025年を迎えました。良いことも悪いこともたくさんあったと思いますが、これから先の時間も皆様が元気で、何より心安らかに過ごせるよう影ながらお祈りします。
来年の抱負を語るならば、まず最初にデザイアゼロの完結。そして、新作の方は一か月以内にレビューを50獲得することです。新作が好評ならば毎日更新を維持したいところですが、やっぱりちょっと難しいかもしれませんね。
それから、新年の挨拶だけでは少し味気ないかなと思いましたので、デザイアゼロのショートストーリーを用意しました。需要があるかどうかはわからないけど……。それからネタバレ大丈夫だよ、って方のみどうぞです。
尚、この近況ノートは仕様上、六日後に消去します。
長くなりましたが、2025年、みなさまどうか良いお年をお過ごしくださいね。
【デザイアゼロ/終の神託と殻の天使・新年特別企画、最終章の一節】
20XX年一月一日、時刻は深夜零時ジャスト。
場所は何処かのテレビ局、司会者席に二人の少女が立ち、ゲストの席にはひとりの少女が、そしてテーブルには二体の動物のぬいぐるみが座している。
「ハロハロ! レジエンドゲーム広報担当の胡桃ハロです!」
「グッモーニング! みんなーっ、新年あけましておめでとー! ハロお姉ちゃんの妹、胡桃モニカだよ! 今日はよろしくねーっ!!」
司会席の少女らがカメラに向けて元気よく挨拶する。
「「というわけでぇ〜! ハロモニチャンネルエクストラ!! これより開幕ぅ!!」」
その映像は地上波でも、ネットでも配信されていた。いまから始まるのは特別な催し。
「今回は特別にリアルタイムバージョンで全国にライブ配信するよ! テレビ局をジャックしたからプレイヤーのみんなも、そうじゃない人達も一緒に私達の戦いを見守ってね!」
ハロがマイク片手にカメラに向かってウインクする。
「そして、特別ゲストはこちら!」
モニカがゲスト席にカメラを誘導させた。そこにはひとりの少女と二体の自立して動くぬいぐるみがいた。
「あ……っ、こんにちわ。新年明けましておめでとうございます。ええっと……レジエンドゲームプレイヤーの暁月星奈です」
「みんなお馴染みワタヌキでござるよ。ボディが変わってタヌキのぬいぐるみになったでござる。え? 知らない? そう……」
「タマモですので! あっしは白キツネのぬいぐるみ!」
ガチガチに固まっている少女、なぜか動くタヌキとキツネのぬいぐるみ。組み合わせが極めて謎である。だが、彼女達は特別ゲストに選ばれた。
「まずは今日の配信の内容を視聴者のみなさまにお伝えするよ! 今回はね、レジエンドゲーム運営が贈る最後のイベント、それに挑む五人のプレイヤー達の勇姿をお送りします!」
「わぁーっ、とっても勇敢な五人なんだね! みんなも応援してあげてね!」
「そしてぇ……挑むのはすごろく型ダンジョン! サイコロを振ってマスを進みアイテムをゲット! エネミーと戦ってランクアップ! ボスマスでは波乱の大苦戦! たまにトラップもあるから気をつけてねー!」
「へぇ〜! すごろく型のイベントなんだー! なんだかおもしろそー! それでハロお姉ちゃん! ストーリーはどんな風になるの?」
「ふふん、聞きなさいモニカ。これはね、ハロ達運営ががんばって考えたものよ。ルシア様に捧げるための大事なメッセージが込められているんだから!」
かつて、レジエンドゲームに参加していたプレイヤー達は今日の配信をそれぞれ異なる地で見届けていた。
「みなさん! 配信が始まりましたよ! ノバラさんの活躍を応援しましょう!」
「もう、カエデちゃんったら。そんなにはしゃいだら傷口に響きますよ。ねっ? そうですよね葵さん?」
「ああ、そうだな。みんな揃って怪我人だからな。あんまり興奮しすぎるんじゃないぞ」
とある病室ではヴィジランテの椿葵、花園小百合、東藤楓がひとつのタブレットでライブ配信の映像を見ていた。
「ウチは怪我人じゃないけどね。まぁ、でもこんなに元気なら心配する必要もなさそう」
見舞いに訪れていた旺李杏はそんな彼女らの姿を見て微笑ましく思っていた。
「……最後のゲームが始まるのね」
「ああ、でも大丈夫。彼女達なら、きっとやり遂げてくれる。だから心配なんていらないさ」
「……うん、そうね」
黄昏美愛羽は人語を発する不思議な黒猫と共に戦いを見守る。
「……あの子のこと、どうか守ってあげて……」
参加プレイヤー一之瀬刹那の母たる女性は、彼女の住居たる屋敷の庭園でその映像を見ていた。
愛する我が子は世界の命運を賭けた最後のゲームに参加する。
彼女の、不安に押し潰されそうな心を支えてくれる愛しいヒトはもう側にいない。
あの戦いで彼は死に、この世界から姿を消した……。
だから、もうこの世界の何処にも彼はもういない。
……そのはずだった。
「…………」
そっと、彼女の両肩に手が乗せられた。
不安も悲しみも、すべてを抱きつつむように。
それは優しくて温かかった。
「ただいま、遅くなってごめんね」
懐かしいその声と、両肩に乗せられた手の温もりが冷たくなった彼女の心を解かし、陰りのある顔に笑顔を灯らせた。
「……ミハル……」
その名を呼んで、彼女の瞳から涙が溢れ出る。
失ったはずの愛するひとが確かにそこにいて、昔と変わらぬような優しい笑顔を浮かべていた。
「……ゲームストーリーは世界に現れた悪意の王、魔王を倒す伝説の勇者のお話。これまで出逢ってきた仲間と協力しながら道を進み、たくさんの苦難を乗り越えて成長し、そうして勇者は世界を覆い包む悲しみを断ち切って、伝説の英雄となるの」
「へぇ、なんだか王道のゲームみたいだね!」
「ええ、そうよ。やっぱり最後は王道のストーリーで締めくくるのがいちばんだもの!」
ハロは得意げに胸を張っていた。
「ルシア様。あなたが始めた滅亡の願いである『Re:the-end game』はハロ達みんなの力でその内容と名前を変えさせてもらったよ。それはね、あなたに捧げる大事な言葉だからちゃんと聞いててね」
この世界にいる皆がハロの言葉に耳を傾けていた。
「…………」
それは当の本人であるルシアもそうであった。
「じゃあ、モニカ。せーので開始の宣言をするよ」
「うん!」
二人は顔を見合わせて笑う。
「「せーのっ!」」
無理ゲーに対抗するためにチートキャラを用意し育成する、それが皆の決定だった。
「「伝説の勇者育成ゲーム! 『Re:the-end game(レジエンドゲーム)』改め『Legend game(レジェンドゲーム)』!! これより開始!!」」
ゲーム開幕の通達が、参加プレイヤーのもとに贈られる。
◼︎【レジェンドゲーム・参加Prayers】
チーム名【アイリス】
『一之瀬刹那』
『東雲悠斗』
『櫻井明日香』
『姫川野薔薇』
『桐生武虎』……総勢5名。
「さぁ、いくぜ。準備はいいか? みんな」
東雲悠斗は皆に声をかける。
「ああ、俺はいつでもいけるぜ」
桐生武虎は頷いてその声に応える。
「これが最後になる……みんな、心して」
櫻井明日香は決意を胸に。
「大丈夫よ。あたしがアンタ達を支えてやるから」
姫川野薔薇は面々達を心強く励まし、微笑む。
そして、最後のひとり——奇跡の子、一之瀬刹那は自信に満ちた表情を浮かべ、声高らかに宣言する。
「マリス・レクイエムを倒し、私は伝説の勇者となる! 必ずこの世界とルシアを救ってみせる!」
最終イベント——レジェンドゲーム、これより……。
「ゲームスタート!!」
【一之瀬刹那・ランク1】
称号『奇跡の子』
筋力A耐久A敏捷A技量SS生命力SSS運勢A
武装『神斬刀・天羽(SSR)』『神斬刀・月読(SSR)』
運営とプレイヤー、すべての垣根を超え、皆の手によって降臨せよ史上最強のチートプレイヤー。
『デザイアゼロ/終の神託と殻の天使』加賀美うつせ
2025年完結予定。