どうも勘違いして理解していたようなので、ロバート・マッキーのセリフの概念のメモをおいておく。
ロバート・マッキーは、著書ダイアローグの中で、セリフを3つの球面で表現している。
キャラクターのセリフが、どのように発せられるかを、空間的な概念で表現したわけだ。
まず、中心にドクドクと脈打つコアがあり、このコアから外部に向かってレーザー光線を撃つというのが、キャラクターがセリフを発するメタファーになっている。このレーザービームを読者が受け取って、セリフの意味を理解するということになる。
んで、このコアを3層の透明な球面が取り囲んでいる。これがセリフ球面だ。コアに近い層から、
・言えないこと球面
・言わないこと球面
・言うこと球面
という構造になっている。
中心部から照射されるセリフ・レーザービームは、この3層を通って、読者に届けられる。
いちばん外側にある層は「言うこと球面」。つまり、キャラクターが発音する言葉のことで、これによってキャラクターがどういう人物かが明らかになる。
中間にある層は「言わないこと球面」。キャラクターが、このレベルでセリフを発しようとすると、作者によって「言うこと球面」が抑え込まれる。そうすることで、読者は、なんでこのキャラは「アレ」を口にしないのだろうと推測しはじめる。この「アレ」は、ストーリーの各所にちりばめられたガジェットや、ほかのサブテキストから推測される。読者は、読心術の世界に入門する。
いちばん内側にある層は「言えないこと球面」。そのキャラの判断や行動の元になる無意識の動機が、この球面を形作る。キャラは、ストーリーの中で、すさまじいストレスにさらされ、人生の決定的選択をする行動をとる時に、はじめて、読者にこの層が提示される。作者は「言うこと球面」と「言わないこと球面」を押さえつける。
読者は、たぐいまれなる読心術の使い手なので、この3つの球面スキルを阻害する書き方は、すべて悪いセリフの書き方ということになるだろう。
うわー、こりゃ、きついわー。
作者、死にそう。
わたしは、だらだら、セリフを流し書きしてるよねー。
セリフの流れが大切。
会話のテンポが大切。
こんな感じで書いてる。
ひと言ひと言のセリフに、重要な意味を込めるのは職人芸だな。