https://kakuyomu.jp/works/822139839924042687/episodes/822139846628265547
【あらすじ】
王宮での夜会から数日後。ロウガは自室で、月下のバルコニーでルシアを突き放してしまったことを激しく後悔していました。 そんな中、ルシアから別邸『銀の雫』へと呼び出されます。アルトカーシャ公爵の資金源と不正ルートの調査という新たな任務を完璧な笑顔で下すルシアに対し、ロウガは「彼女は自分の無礼な態度を割り切ってくれたのだ」と安堵します。 しかし、彼が退室した直後、ルシアは完璧な令嬢の仮面を剥ぎ捨て、と悔しさにペンを叩きつけるのでした。
【執筆メモ・制作裏話】
前回の月下のワルツからの続きとなる、二人の「もどかしいすれ違い」を描いたエピソードです。
■ロウガの不器用さと身分差の壁 戦場では無敵を誇る『不敗の剣聖』ロウガですが、恋愛ごとや身分差が絡むと、途端に不器用で真面目すぎる男になってしまいます。 彼はルシアに強く惹かれているからこそ、「一介の傭兵である自分が、輝かしい未来を持つ侯爵令嬢の隣に立つわけにはいかない」と自らを厳しく律しています。
彼なりに彼女を守るための「拒絶」なのですが、その結果、彼女の心を傷つけてしまったのではないかと自室で一人悶々と後悔する姿は、彼の人間臭さがよく出ていると思います。
(本編の主人公であるレリュートが「女心に鈍感」と言われがちですが、この義父の不器用さを見ると、なんだか似た者親子だなと感じてしまいますね)
■ルシアの強がりと本音 一方のルシアは、拒絶されたからといって泣き寝入りするような弱い女性ではありません。
ロウガを呼び出した際は、あえて「完璧な令嬢・雇い主」の仮面を被り、政敵であるアルトカーシャ公爵を追い詰めるための的確な指示を出します。ロウガはそれを見て「割り切ってくれた」と見事に勘違いして安堵して帰っていくわけですが……。
彼が部屋を出た瞬間に仮面が剥がれ落ち、苛立ちを露わにしてペンを叩きつける最後のシーン。ここには、彼女の「どうして私の気持ちを分かってくれないの!」という、年相応の等身大の女の子としての悔しさと愛情が詰まっています。
互いに想い合っているのに、ロウガの真面目すぎる「身分差の壁」が邪魔をしてすれ違ってしまう二人。 ですが、このすれ違いも長くは続きません。
意外と、ありきたりな身分差恋愛モノの話になってきましたが、元々ありきたりな身分差恋愛ストーリーを書くつもりでしたので、ご容赦を
次回以降、公爵の不正を暴くための任務を通じて、二人の関係はついに決定的な一線を越えることになります。 もどかしい二人の恋の行方と、こっちの話ではわりと知略派の悪役をしているアルトカーシャ公爵との知略戦にご期待ください。