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Rainbow Noise 予習復習・裏話 notes #2 キャッチコピーの変更と、これまでの変遷。

 大型連休中に3話ほど進み、早くも4章は5話まで来ました。時期によっては5話分に半年以上が掛かってる(試験とか別創作のため)ことを思えば、いいペース。合唱部的にも、希和&詩葉ペア的にもクライマックスです。ただこれから別方面(楽しみ)と学業(うっ頭が)が活発になってくるので、構想を固める意味でも減速しそうです。
 ちなみに2章終了後のキャラ紹介をプロローグとして3章から読むと、すぐにGL展開になるので、早く女の子×女の子を読ませろって方にはそれもオススメです。

 そんな中ですが今回は、キャッチコピーを変えた話をします。
「青春は、君色なしには響かない――謳おう、最高の片想いと恋敵と、この仲間」
 になりました。文字数目いっぱい。

 経緯を説明するとですね、最近の僕には西尾維新先生の「物語シリーズ」のリバイバルが来てまして。きっかけはアニメ10周年記念イベントの開催で、地元の映画館のライブ・ビューを堪能して一夜明け、その感動が冷めやらぬうちに投稿しています。素晴らしかった、アニメと演技と音楽の、このうえなく幸せな融合でありました……このイベントの話をするとキリがないので、割愛しますが。
 一時期のハマり具合は相当だったし影響も強く受けた、けど最近は少し遠のいていたこのシリーズを、イベントきっかけに復習してたらやはり楽しく。
 その流れで、シリーズ各編のキャッチコピー……青春をキーワードに七五調で綴られるフレーズです、それに倣ってRainbow Noiseを各キャラの視点で表現しようという遊びを思いつきました。

 希和は「青春は、君色でしか響けない」
 詩葉は「青春に、君で私は謳い出す」
 陽向は「青春が閉ざした君を、照らし出せ」
 紡は「青春に果てた物語に、果てはない」

 Twitterに投げて終わりのはずが、「君色でしか響けない」がすごくツボで。作中でキャラの心情も変化する中で、キャッチコピー変えてみるのもありかなと思い始めたこともあり、実行と相成りました。
 前の方が良かったのに、という方がいたら申し訳ないですが。こちらも気に入ってくださると幸甚です。
 西尾先生は、自分のアイデアが「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの影響を無意識に受けていた(知らずに被っていた、かも)ことを指して「エヴァの呪縛」と仰っていたこともあるのですが、僕にとっても「西尾の呪縛」というのは、抜け出せないものなのだなと改めて。ちなみに雪坂メンバーだと、陽子のイメージの源は神原駿河さんだったりします。後、拙作の「霊刀少女ヒギリ」での同音異字ネーミングは影響が顕著ですね。

 せっかくなので、覚えている限りで本作コピーの変遷を。

 まず連載当初は、
「ノイズを抱える僕らには、僕らだけに創れる和音がある」
 ノイズと和音という反対のイメージを同居させ、希和たちが内面の葛藤を抱えながらも、それぞれの個性を引き出し合って共に歌う姿を伝えようとしてました。もちろん気に入っているんですが、キャッチーさに欠けるのと、後は恋愛要素が伝わりにくい気がして、しばらくして変えました。

「片想い文学少年と天然百合少女が織りなす、虹色の青春音楽群像!」
 ……だったかな、記録していないんですが、確かこんな。
 キャッチーさに振って、後は希和と詩葉の関係をメインに持ってこようと考えました。キャッチコピーとして一番ふさわしいのはこれかもしれないんですが、希和はともかく詩葉を「天然百合少女」と表すのは違和感がすごいというか、僕がたまに抱く「このキャラをこんな言い方で表すんですか(困惑)」を見事にやってしまってる気がして、割とすぐに変えていた気がします。

「僕の好きな君と、君が好きなあの子と、僕らの愛したみんなの歌」
 これで一年以上は続けていた、かな。
「僕の好きな君」は希和から詩葉へ。この書き方は「I love you」とのみと取れるはずなんですが、続く「君が好きなあの子」は「She loves you」と「You love her」のどっちにも取れて、つまり詩葉と陽向の両思い展開を暗示できる(気がした)んですよね。
「僕らの愛したみんなの歌」にしても、「僕らが大好きなたちが歌う」「みんなで歌うことが、僕らは大好きだ」が重ねられますし。
 後は、似た構造の言葉を重ねて文にするのが好きなもので。気に入っていましたし馴染んでいたんですが、やはりもう少し即効性を考えた方がいいかなとも思い。

「青春は、君色なしには響かない――謳おう、最高の片想いと恋敵と、この仲間」
 希和、詩葉、陽向の関係性をより明確に。
 どんな関係に落ち着こうと、希和は詩葉のおかげで得ることのできた感情や、詩葉がきっかけで得られた経験があることは、間違いなく彼女に感謝すると思うんですよね。
 その役目を果たせるような他の人がいた可能性はあるんですが、とはいえ希和にとって詩葉は「ただひとり、君でなければいけなかった」人です。そんな人の心の在り方に向き合い、戸惑いながらも、全力で肯定しようとする。そして彼女のためには、恋敵である陽向の力が必要であり……という。
 好きな人が好きな、自分じゃない人、いわゆる恋敵がとても大事な存在だというのは、僕がずっと描きたい感情で。希和に限らず、結樹(にとっての紅葉)や倉名(にとっての和可奈)もそうですね。スポットを当てるキャラが多いのは、「切ないけど誰も悪くない」を感じてほしいから、みたいな目標があるからでもあります。

 君「色」というのは、つまりはその人の個性であり在り方であり。
 タイトルのRainbowには、誰とも同じではない、誰にも定義はできない「あなただけの、あなたという色」の「無限のグラデーション」が、彼らなんだという意味があるんですね。   
 誰かと違うこと、他の何かになれないことは痛い。それでも、そんなあなたでなければ救われなかった私がいる、誰でもないあなたを好きになった私がいる、だからあなたが自身を受け入れ、愛せますように、という祈り。
 加えて、それぞれが違うからこそのすれ違い(noise)と、個性が組み合わさったときの爆発的なアピール力(こっちもnoise、と言い張る)がチームの面白い所だよね、という意味も込めてます。タイトルには他にも意味あるんですが、その話はまた今度。

 そして、歌の物語での「謳おう」です。後半にゴスペル=讃美の歌を持ってくるのも然りなんですが、紆余曲折ありつつも、「今、ここ、私とあなた、みんな」を肯定する、讃え合う物語だと思っていまして……というのは半ば後付けで。
 分島花音さんが「Unbalance by me」という曲で、すごく印象的な「謳う」「歌う」の歌い方をしていて、それ以来この字を使いたがっているというきっかけでした。

 しかしキャッチコピー、目を引きやすくするメソッドもあるとは思うんですが、やはり自分の趣味は投影したくなってしまい。僕は毎度、35文字で試行錯誤です。
 それでいて、短文でガシッと心を掴む人はいますし。
 ちなみに自作で一番気に入っているコピーは「めぐり桜のファンファーレ」の、「幽霊ちゃんは祝いたい。あなたの生きる、今日のすべて。」です。

 それでは、100%僕の好みで書いておりますRainbow Noise、良ければ引き続きご覧くださいませ。

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