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岩井喬
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2018年5月27日 22:56
『怪獣殲滅デッドライン』につきまして
諸事情により、このノートを設けることといたしました。
特に執筆速度や計画に変更はありません。
岩井喬
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6件のコメント
神辺 茉莉花
2018年5月28日 00:24
岩井さんへ
「怪獣殲滅デッドライン」読みました。
お手数をとらせてしまい、恐縮しています。
心理描写とキャラクターについて重点的に、という要望でしたので、そちらを主に言っていきます。展開にも少し触れる部分がありますが、ご了承ください。
また、私は単なる活字中毒者(兼アマチュア校正者)なので、絶対こうしなければいけない/ここが絶対的に悪い、ということではありません。
以下、めちゃくちゃ長いので注意!
・全体的な感想
心理描写に関する部分は、割と地の文で理性的に書かれているなという印象を抱きました。あまりはっちゃけたりコミカルだったり台詞で悲鳴を上げるというかたちではなかったですね。
これはキャラクターの立ち方、展開、自衛隊外郭組織という組織・身分とも関わるのですが、どこか抑制させた書き方を選んでいるのかなと思いました。そういう意味では少し淡泊とも捉えられるかもしれません。
それでも、主人公・石津武也の怪獣に対する熱い思いはきちんと伝わってきました。激昂したり、呆然とする部分から、怪獣のことになると冷静に作戦を指揮しようとする部分があり、そこはワンクッション入れてから表現してもいいかなと思いました。
あと、これはごく個人的な感想なのですが、石津→菱井への恋愛感情(?)が、物語上どこまで魅力を発揮するのかまだ未知数な部分はありました。
恋愛感情なのか、似た過去を持つ者への憐れみと労わりなのかがうまく読み取れなかったです。また、菱井の方もどういう気持ちで石井に接しているのか(側近としての自負と好意なのか、恋愛感情なのか、尊敬の念なのか、石井の士気を上げるための行動なのか……)が分からず、もやもやしました。
(もっと個人的に言うと、恋愛要素を出すなら出すでもう少し双方積極的に動かしたほうがいいし、出さなくても充分に成り立つ話ではないかなと考えています)
全体を通して各キャラクター、矛盾した心理はありませんでした。後述しますが、心理やキャラクターのブレがないということは、作者がきちんと物語をまとめている、しっかりと把握しているということの証拠でもあります。素晴らしい才能だなと思いました。
・キャラクターについて
(所属、立ち位置等、読み違っていたら申し訳ないです)
・石津武也……海上保安官である父に憧れ、その父が殉職したことにより怪獣討伐を誓う男性。本作の主人公。長年指揮官として怪獣討伐にあたってきたが、柘植忠司博士の「現場を知らない」という言葉にはっとし、前線での動き方・命の重みについて模索する。
熱血漢。特に怪獣がらみになると我を忘れる傾向にある。
※主人公らしい主人公でした。これは物語展開のスムーズさとも関わってくるのですが、行動原理が非常に把握しやすく、共感もしやすいキャラクターであったなと思っています。
ただ、菱井への思いについては物語上、もう少し明確にしたほうがいいかなと思っています。
・菱井恵美……自衛隊外郭組織に所属。石津武也のサポート役。石津と同じく恐竜孤児。面倒見がよく、特に石津に対しては(サポート役だからなのか)缶コーヒーを差し入れし、体調や精神面を気遣う。状況把握能力に長けている?
※本作のヒロイン格でした。行動力があり、面倒見がよく、明るい優等生タイプ。戦争孤児という設定は割とさらっと流されていたような気はしています。上述しましたが、石井へ向けた思いが今ひとつ掴み兼ねる部分があり、そこがどうなっていくか気になっています。
・柘植忠司……海外でのPKO活動中、負傷し帰国。帰国後は防衛装備開発の主任となる。散歩中、一緒にいた妻が狙撃され死亡する。(暗殺のターゲットは柘植忠司であった)公安部の職員にすげない態度をとられ、それに落胆・憤慨。怪獣孤児であった原怜の面倒を見つつ、秘密裏に対怪獣の研究を行う。
※いわゆる身内に妻を殺されたから怪獣対策には協力したくない、という行動原理はすごくよく分かりました。その反面、石津に対しては「現場を見てくれば協力する」と言っていることもあり、そういう部分で、言葉は悪いのですがストーリー上少し都合のいい展開になってしまったかなと思っています。(展開としては雷撃砲を使った作戦の失敗はわくわく感と緊迫感があってよかったです)
・原怜……戦争孤児で引き取り手がいなかったため孤児院で育てられる。環境としては劣悪で、犯罪行為にも関わっていたことがある。年齢の割にはクールな印象。元防衛軍下士官のメンバーに格闘技や戦いでの立ち回り方を教わる。その後柘植忠司の「用心棒」として雇われ、彼に恩義を感じ、身の回りの世話も行うようになる。
※柘植を思慕しているものの、あまり派手な感情の動きをしないキャラクターだなぁという思いを抱きました。どちらかというと柘植の過去を説明したり、自身の過去を明かすなど、情報の開示の役割を感じました。
27話の「私を菱井少尉だと思って」という発言は少し唐突感もあったものの、彼女が能動的に動いている感じが感じられ、印象的でした。
・その他
(簡単でごめんなさい。紹介しそびれ多数あり。申し訳ないです)
・石津武也の父……海上保安官。怪獣出現時に殉職。
※子供思い、妻思いの好感のもてる人物でした。作中、武也が父の雄姿を振り返るシーンがあってもよかったかもしれないなと思っています。
・石津武也の母……子供思い。夫に対しても優しい(デレてる感じ)。怪獣出現時、避難中に娘を護るようにして死亡。
※ロマンチストという設定でしたが、あまりそういう部分は強く感じませんでした。ただ、出番そのものが短かったのでそこまで気にしなくてもいいのかもしれないです。
・石津優実……石津武也の妹。怪獣出現時、避難中に負傷。一命を取り留めるものの意識を喪失したまま入院中。武也の行動原理を裏打ちする存在として非常に印象的に描かれていました。もう少し要所要所で思い出すシーンや何か妹(か両親)の所持品をお守り代わりにしているという設定があると、前半の打倒怪物の覚悟が深くなるかもしれません。
・大原浪雄中佐……海上自衛隊出身。羽崎哲三中佐とは同期。怪獣殲滅の作戦に関わる。大原浪雄中佐は羽崎の指揮のもと殉職。
・羽崎哲三中佐……海上自衛隊出身。大原浪雄中佐とは同期。柘植忠司を暗殺するように命じた人物。犯行を石津と菱井に告白し、二人も殺害しようとたくらみ失敗。
※黒幕っぽい立ち位置でした。これからどう物語に絡んでくるのか気になっています。柘植暗殺の告白のシーン、非常に印象的でした。
・キャラクターについては尖ったキャラクターや、ライトノベルにありがちなエロよりの設定は感じられませんでした。このことから、ライトノベルで応募を行うよりは一般エンタメの賞に送ったほうがいいのかなと思っています。
総じて破綻の少ないキャラクターの立ち方でした。
作品全体として「ゴジラ」と有川浩さんの『塩の街』、『空の中』、『海の底』あたりが参考になりそうだなと思いました。
岩井さんの「怪獣殲滅デッドライン」は自衛隊の外部組織という設定ですが、カクヨムだと、たけざわかつやさんの「陸上自衛官の日常」https://kakuyomu.jp/works/4852201425154950635あたりが会話の空気感を知るのにいいかもしれないです。
・以下、少し引用しながら気になった部分の指摘
3話
>俺はびくり、と肩を震わせた。その時の父からは、畏怖の念を抱かざるを得ないような気迫が感じられた。
「お母さんと優実を頼むぞ」
無造作に、曖昧に頷く俺。
ここの「無造作に、曖昧に頷く」というのがふわっとしている感じでした。
「畏怖の念を抱かざるを得ないような気迫」ここを受けての態度にした方がいいのかなと思っています。
案(こういう風に書いてくださいということではないです)
俺はびくり、と肩を震わせた。その時の父からは、畏怖の念を抱かざるを得ないような気迫が感じられた。
「お母さんと優実を頼むぞ」
言葉に込められた思いに圧倒されて小さく頷く俺。
4話
>俺を引き取った伯父夫婦は、俺のことを心から心配し、気遣ってくれた。しかし、その優しさに触れる度に、俺は家族を思い出して涙を堪えられなくなった。
「武也! 武也! ニュースだ! 下りてきなさい!」
「あなた、武也くんがあんなものを目にしたらどうなるか……」
「いつかは立ち向かわなければならないんだ。それに、これは我々にとっても他人事ではない。武也、リビングに来なさい!」
「心から心配し、気遣ってくれた」という設定にしては、伯父のセリフが少し強かったかなという印象がありました。ただ、伯父の性格設定とも絡む部分なので、下手に出るような言葉遣いにしてくださいという意味ではないです。
9話
>口に出して読んでみる。まずはこの一行だけだ。しかしそれだけで、俺にはこの柘植忠司なる人物が、怪獣に対する人類側の切り札であることを察した。
もう少し感情入れたほうが、石津の怪獣に対する関心の高さ・興奮を示せるかなと思いました。
話数失念
>俺は羽崎中佐の退室後、すぐにスーツを身にまとい、部下を招集した。その中で『なんとなく』菱井恵美少尉を選んだのは、やはり『なんとなく』としか言い様があるまい。
>俺の右腕として共に戦ってきた、そんな信頼のおける人物でもある。
うーん……上述しましたが、信頼感なのか、「なんとなく」なのか、なぜ恋愛感情にも似た行為を抱くことになったのか、少しもやっと感じました。
13話
>大胆に言ってしまえば、異性として好意を抱いているのかもしれない。
ここですが、どこに惹かれたのかが分からず、うまく共感できませんでした。
具体的にどこに惹かれたのか(性格なのか、行動なのか、何らかの台詞なのか)という情報があると説得力も増すのかなと思っています。
22話
>「今は博士の話を聞きましょう? ねえ、少佐?」
俺は自分の胸中で、怒りの風船が膨らんだり萎んだりするのを感じた。しかし、勝ったのは萎む方だった。
「感謝する。菱井恵美少尉殿」
ここ。
もう少し石津の方に葛藤や迷いがあってもよかったかもしれないなと思いました。
28話
>「羽崎中佐は現在、他組織への不当な情報漏洩容疑のため、その身柄を拘束されている。また、その際に警備兵と銃撃戦になり、現在はとても話ができない状態にある。かく言う私は無事だ。逆に言えば、羽崎中佐を除いて、指揮を執れるのは私しかいない。皆の力を、こんな若造一人に預けることについて、不安を覚える者もいるだろう」
俺は軽くマイクの位置を直し、再び両手を司令官の席に着いた。
「だが、どうかここは、皆の総意を受け止め、怪獣を倒さんとする意志の器として、私を使ってもらいたい。頼む」
「若造」という言葉を自分で使うことについての覚悟や思いを込めた一文があると深みが出るなと思いました。
・感想まとめ
心理描写はそこまで深くないものの、破綻がなく把握しやすかったです。
キャラクターの立ち方もそれぞれの思いがよく分かり、良かったなと思っています。
公募用として指摘するのであれば、石津⇔菱井のそれぞれの感情や関係性をどう描いていくのか、それともバッサリと切って怪獣討伐ものにするのか、その検討をきちんとしたほうがいいのかなと思いました。
若干スローテンポかなとも思いましたが、手に汗握る展開で読んでいてわくわくしました。
とても楽しかったです。
追加質問や分からない部分、これは違うんだ!という部分がある場合は、遠慮なくお知らせください。
時間の許す限り、応えたいです。
それでは執筆お疲れ様でした。
素敵な時間をありがとうございました。
神辺 茉莉花
2018年5月28日 01:39
違う!
恐竜孤児じゃない。
(誤字を発見したもよう)
怪獣孤児!!
ううう……
岩井喬
2018年5月28日 11:32
>神辺 茉莉花様
明瞭かつ詳細なご助言を、それもこんなにたくさん頂戴し、お礼の言葉もありません。
と、言っては小説家志願の端くれとしての名折れですので(^^;
ただひたすらに、深く感謝しております。
もっとも気になったのは、石津少佐と菱井少尉の関係ですね。もうひとつ盛り上がりを設けておりますが、やっぱりそれでも唐突だよなあ、と思いますゆえ、少しずつ推敲していければと思います。
次作(プロット製作中!)にも恋愛要素は入りますので、大変勉強になりました(^^)
『推敲したら読んでくれ!』などと妄言は申しません。
が、もしよろしければ、今後も『岩井? ああ、あの怪獣馬鹿か』くらいで、わたくしめの存在を頭の片隅に置いていただけると大変嬉しく思います(だからどうこうというお話ではありませんが)。
やっぱり締めくくりにはこの言葉しかありませんね。
本当にありがとうございました!
神辺 茉莉花
2018年5月28日 20:12
こんばんは。
あまりまとまらない感想&指摘で失礼しました。
>もっとも気になったのは、石津少佐と菱井少尉の関係ですね。
はい、そうです。
石津→菱井
1 そもそも抱いている気持ちは恋愛感情なのか
2 どこに惹かれたのか
この2点がうまく読み取れなかったです。
菱井→石津
1 石津に対して抱いている感情は何か
2 恋愛感情だとしたらそれを示すためにどのような行動をしたのか。
(缶コーヒーを差し入れる、食事を一緒にとる等の行動がありましたが、もっと積極的な行動があればわかりやすかったです)
※……2に関してですが、誕生日イベントや墓参りイベントを入れる、気弱になる菱井を石津が慰める、缶コーヒー等の差し入れの時にボトルにメッセージを添える、石津のポケットに手紙をしのばせる、告白する、石津のプライベートの連絡先を聞いてメッセージを送る等……設定と作中の状況をフルに使った方がいいのではないかなと考えています。
一人称の、石津視点の物語なので、菱井の気持ちや状況を描くのは難しいとは思いますが、現時点ではヒロイン・菱井がまだ弱いです。
キャラクター単体として見るととても魅力的な性格・設定をしているので、目いっぱい生かして素敵な物語をより素敵にさせてください。
これから他の物語も含め、楽しみにしています。
岩井喬
2018年5月28日 20:55
>神辺 茉莉花様
おおっ! さらに追記していただき、誠に有難うございます!
わたくしめにできることは、ただひたすらに平伏させていただくことくらいでしょうか<(_ _)>
ただ、一つ問題が。余談かもしれませんが。
最近体調……ならぬ心調を崩しており、『怪獣~』よりも先に『何か』に取りかかった方が楽しいのでは? と思っております。
『怪獣~』はジリジリ更新させていただくとして、別なディストピア系のアクションを構想しております。
こっちの方を書きたいだけ書いて、『怪獣』は、気が向いたらそこに戻って完結させる、という路線で動いてみようかと。
随分わがままを申しておりますが、自分のことは『たまには』自分にしか分からないだろうなあ、と思ってのことです。
宣伝する意図はなかったのですが、今回神辺さんから頂戴したアドバイスを活かす絶好の機会と思っております。
今後ともよろしくお願いいたします!(^^)
神辺 茉莉花
2018年5月28日 21:53
もちろん、何をどう書くのかというのは自由で、それは岩井さんが一番やりたいことをやるのがいいと思います。
楽しむのが大事。
またいろいろ読ませてくださいね。
でも、無理しませんように。
楽しみにしています。
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