📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖「第605話 既に種はまかれたのだ。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093086266595238📄聖スノーデン、晩さん会の席にて脳卒中を起こす。それが歴史に残された事実だった。
その時、スノーデンは急に立ち上がり、何かを口走ろうとして意識を失った。
「どうして――?」
テーブルの食器の上に崩れ落ちたスノーデンは、既に息絶えていたと言う。
◆◆◆
<スノーデンが死んだ>
聖教会の大聖堂、その祭壇の前に大司教が跪いていた。頭の中に、響くのは全能なる神の声だ。
声は音ではなく、「意味」として頭の中に浮かんでくる。声に性別はなく、老若もなかった。
「何と! スノーデン様が?」
<騒ぐな。既にスノーデンの役割は終わっている>
大司教に語りかけているのは、ジェーンが「神の如きもの」と呼ぶ存在だった。
神であるならば、語りかける必要はない。大司教は|神《世界》の一部であるはずなのだから。
あえて語りかけているという事実が、「神の如きもの」もまた1つの「個」であると証明していた。
しかし、大司教に疑いはない。神以外の何者に、心に直接呼びかけることができようか?
「ですが、魔術を広めるのが彼の目的だったはず」
神器を用いての魔力付与は、大司教の目から見れば道半ばとすら言えなかった。スノーデンの努力は精々数十人の魔力保持者を生んだに過ぎない。
ここで途切れれば彼の努力は水泡に帰するのではないか?
<人の時と神の時とは違う。既に種はまかれたのだ>
魔力が発現しなかった数百人の平民にも神器の効果は届いていた。血統に書き込まれた魔力因子はやがて子孫の中から魔力保有者を生み出すだろう。……
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お楽しみください。