📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖「第602話 ジェーンには目的がある。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093085790561884📄ジェーンは神だった。
正しくは「神であったもの」だ。この世界を創ったのはジェーンではなかったが、いつからかジェーンが神として生まれた。
神であるジェーンは「世界そのもの」だった。空も土も、生き物も、すべてジェーンだった。
それが突然、世界とのリンクを断ち切られた。何者かに神の座を追われたのだ。
神でありながらジェーンには、|世界《自分》に何が起こったのか理解できなかった。突然、世界は塗り替えられ、|世界《神》の意識は霧散した。
散り散りになる理性を僅かにかき集めて、|世界《神》は「ジェーン」という人格を創り、そこに意識を留めた。ジェーンは最早、|世界《神》ではない。
「|まつろわぬもの《かつて神であったもの》」に過ぎなかった。
なぜなら世界には新しい神が存在していた。世界中に|ジェーン《自分》とは異質の意識が満ち満ちている。
ジェーンはそれを知覚し、身を潜めた。
人の身となったジェーンには、|神《世界》と正面から戦う力がなかった。|ジェーン《まつろわぬもの》の存在を見つければ、神はノミをつぶすよりも容易くジェーンを消し去るだろう。
|ジェーン《かつて神であった者》も今や世界の一部に過ぎず、そのわずかな隙間に意識を寄生させている存在にすぎないのだから。
それでもジェーンは「神の力」の一部を残していた。ギフトでも魔力でもないその力は「|神の意志《かくあれかし》」。ジェーンが「こうであれ」と願えば、人の運命に介入することができる。
だが、かつて無制限に使えたその力は、一定の条件を満たさなければ行使できないものに弱まっていた。
「神の意志」を使えば痕跡が世界に残る。それは「|世界《新しい神》」の知るところとなるだろう。
(だからこそわたしはスノーデンの「影」とならなければ……)
スノーデンは「神」の意志を受けて世界を変える存在だった。戦場での戦いぶりを見なくてもジェーンの眼には彼の存在が「神の傀儡」と映っていた。彼の本質が|世界《神》と特別な糸で結ばれているのが見える。
ジェーンは統治委員会に入り込み、人としての能力を発揮した。かつて「全知」であったジェーンには、人の領域で天才と呼ばれる能力を示すことなど容易かった。
あくまでも目立たず、神の注目を集めぬよう、ジェーンは静かに地位を上げていった。……
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お楽しみください。