📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346+++++
🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!」✨
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📖「第598話 これがイドの鎧というものか?」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093085230372829📄「意」を「形」にするのはイメージだと、ステファノは語った。
「最初の魔術として習うことが多いのは『種火の術』です。これは誰でも火を見たことがあるからです」
|附木《つけぎ》の先でゆらゆらと揺れる炎。あるいは見ていると顔をほてらせる炭火。
触れば指を焦がし、木の葉をかざせば燃え移る。
「火のイメージは身近で豊富です。色、形、温度、動き、音、匂い……。五感を刺激する要素を数多く備えています」
だから火の因果はイメージしやすいのだとステファノは言う。
「イドの制御もこれと同じです。難しいのはイドは目に見えないというところですね」
それどころか通常はその存在を感知することさえできない。
「目に見えず、触ることもできないものをどうやってイメージする?」
珍しくネロが興味を示して、ステファノに先を促した。
「イドは意志の力で疑似物質化することができます。こんな風に」
ステファノは右手にまとうイドを硬質化し、同時に空気の層を挟み込むことによって可視化して見せた。
「これは……手で触れる。硬いな。これがイドの鎧というものか?」
「はい。わざと目に見えるようにしています。普通はこうなります」
ステファノはネロに手を触らせながら、イドを不可視の状態に戻し、手を自由に動かせる状態まで硬度を落とした。
「むう。これは、べたつかない粘土のような……。不思議なものだな」
「こうやって術者が実演して示せば、学習者はイドを知覚できます。瞑想法の講義では体内にイドの集合体である『|魔核《マジコア》』を錬成する実習を行うわけです」……
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お楽しみください。