📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346(第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞!)
📖「第566話 お前はまず二流を目指しなさい。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093080672974714+++++
📄ステファノは鴉たちに配るためにゴダール一座の似姿を手早く描いた。それを|魔示板《マジボード》でサントスに送り、大量に複製させる。
マルチェルの指示を受けて、ステファノは各地の拠点にでき上がった手配書を持って|飛んだ《・・・》。
久しぶりに「ギルモアの獅子」を描いた遠眼鏡が、身分証代わりに役立った。
鴉の連絡係は手配書と似姿の束を受け取ると、あいさつもせずに姿を消した。
手配書を配り終わると、しばらくステファノにできることはない。ゴダール一座発見の知らせをウニベルシタスで待つことにした。
「いっそのこと手配書と一緒に|魔耳話器《まじわき》も配れば良かったでしょうか?」
「あれば便利なものではあるが、まだその時期ではあるまい。大量に配ればどこかで秘密が漏れる。それにまだ、|広域通信網《WAN》の敷設が追いついておるまい」
ネルソンの言う通りだった。|中継器《ルーター》を敷設していない場所では、|魔耳話器《まじわき》は短距離通話しかできない。
「こういう場面を考えると、広域通信網《WAN》の整備は早ければ早い方が良いでしょうね」
「うむ。緊急事態に備えるには|魔耳話器《まじわき》がいつでも使えるようにしたいな」
「この機会に俺が飛び回って、|中継器《ルーター》を設置して来ましょうか?」
焦るステファノの様子を見て、ネルソンが言った。
「お前1人ですべてを行えるわけではない。そう学んだのではなかったか?」
ずばりと言われて、ステファノは言葉に詰まった。
「『自分でできる』は三流、『人にやらせる』のが二流。『人を育てて』初めて一流になれる。お前はまず二流を目指しなさい」
ネルソンの言葉には実践の重みがあった。
ステファノは言い返すことができなかった。……
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お楽しみください。