📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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📖「第565話 トゥーリオにはギフト『陽炎』があります。」
📄ウニベルシタスに着くと、初対面の挨拶もそこそこにドリーはヤンコビッチ兄弟についてネルソンに知っていることを告げた。そこにはマルチェルが控えており、ヨシズミも呼び寄せられていた。
「マルチェル、お前はその兄弟のことを知っているか?」
ステファノの目撃情報まで聞き取ると、ネルソンはマルチェルに尋ねた。「ギルモアの鴉」の重鎮であるマルチェルは、裏社会の事情に詳しい。
「噂だけは。兄の方は根っからの殺人愛好者だと聞いております」
「ふむ。弟の方は?」
「弟は知恵が足りないとか聞きました。小児並みの知力だとか」
マルチェルの持つ情報はドリーが集めた情報と一致していた。彼女はクリードのために兄弟について調べていたことがある。
「わたしの持つ情報でも同じです。弟のミケーレは兄のトゥーリオに依存しており、兄の言いなりだと」
「俺が見た様子でも、ポトス、いえミケーレは甲斐甲斐しくトゥーリオの介抱をしていました。兄弟愛が強いのは間違いないと思います」
ドリーの情報に対し、ステファノは自分の目で見、感じたことをつけ加えた。
「ステファノの観相は一流だッペ。おめェがバケモンだって見たなら、そりゃァバケモンに違いなかッペ」
「ゴダール一座にいるアーチャーとポトスは、トゥーリオとミケーレのヤンコビッチ兄弟と見て間違いないだろう」
ネルソンの言葉で2人の正体はヤンコビッチ兄弟だという前提で動くことが決まった。
「残る3人が兄弟の正体を知っているかどうかはわからんな。5人全員が一味である可能性を含めて捜索に当たらせよう」
5人とも犯罪者であった場合、うかつに近づけば命取りになる。ネルソンはその思いをマルチェルに伝えた。
「ごもっともです。所在を掴んでも一座に近づかぬよう、鴉どもには念を押しましょう」
ステファノが彼らと出会い、別れたのは3日前だと言う。ネルソンはコーヒーテーブルの上に地図を広げ、馬車による行動範囲を推測した。……
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お楽しみください。