📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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明日の朝、新エピソードを公開します。
📖「第563話 俺は――見たかもしれません。」
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📄速いといってもさすがに3時間の道のりは長い。後ろから抱きついた姿勢で黙っていることに気まずくなり、ドリーは世間話で誤魔化そうとした。
「見た目はそれ程でもないが、随分筋肉をつけたな」
「旅の間、体幹を鍛えました」
音無しのジョバンニにあやかって体裁きの精度を向上したこと。滑空術での空中機動を磨き、軽業のような身ごなしを習得したことなどを、ステファノは嬉々としてしゃべった。
一人旅が苦しいと思ったことは一度もないが、心のどこかには寂しさがあったのかもしれない。
年相応のはしゃぎっぷりを目の前にして、ドリーは先程覚えた怖れのような感情は何だったのかと、不思議に思う。
(まるでステファノが人外の存在に思えたものだが……)
「新しい術でも身につけたか?」
「ううーん。魔法の方は滑空術を磨いたくらいですねえ。主にイドを鍛えていました」
「そう言われれば、身にまとう気配が変わった気がする」
ギフトを使ってステファノのイドを見直すドリーに、ステファノは|高周波化《オーバークロック》の話をした。
「精神攻撃を跳ね返す目的でイドの|稠密《ちゅうみつ》化を狙ったものです。それが身体強化や反応速度向上という効果をもたらしまして」
「武術で言う内気功という奴か? それは興味を引くな」
ドリーは魔術師であると同時に、武術の道を志す者でもある。主に剣を振るってきた彼女にとって、拳法者が語ることの多い気功という力は遠い世界のことだった。今までは――。
「体にまとうイドを硬質化したり、飛ばしたりすることが外気功だとすれば、体内のイドを制御することで身体能力を向上させるのが内気功ではないかと考えています」
「そう言われるとわかりやすい」……
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呪タウンからのタンデム飛行。ドリーとステファノは世間話(?)を始めますが、ただの無駄話で終わるはずもなく――。
お楽しみに。