📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346ご愛読&応援ありがとうございます。🙇
更新しました。「🍚🥢飯屋」です。
📖第549話 師匠、これが俺の「千変万化」です。
📄「はっきり言ってくれるな。俺たちが信用できないってか?」
「はい。旅先で偶然出会っただけの関りですから」
ステファノは悪びれずそう答えた。おかしな言い分ではない。道中で出会った旅人が追剥に化けるなど、よくある話だった。
それに、ステファノは一人旅だ。
「そちらは大勢ですし」
普通に考えれば、危ない状況なのだ。袋叩きにされたら、命が危ない。
「そう言われるとな。口説きようがねえぜ」
「悪く思わないでください。ゴダールさんがどうこうでなく、旅の用心なので」
「むしろ薬を分けてくれたのができすぎなくらいか」
目を尖らせかけていたゴダールだったが、ステファノの立場に立てばやむないことと受け入れた。
「わかった。これ以上無理強いはしねえ。どこかであったらいつでも声をかけてくれ。どこの町にも|伝手《つて》はある。役に立てることもあるだろうぜ」
「ありがとうございます。その時はよろしくお願いします」
ゴダールが差し出す手をステファノは握り返した。ゴダールの手のひらは分厚くて、堅かった。
そのままここで野営をしようとしていたゴダール一座だったが、ここで別れた方が良いだろうと、荷物を馬車に積み直した。眠っているアーチャーは、そのままポトスが抱き上げて馬車に運んだ。
「じゃあな、ステファノ。達者でな」
一言残してゴダールは去っていった。
(用心しすぎたかな?)
走り去る馬車を見送った後、ステファノは頬を撫でた。……
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お楽しみください。