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📖第521話 こいつばかりはウチにしかできねぇ。
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📄「それを言ったら3人も似たようなものじゃありませんか。3学期が終われば卒業でしょう?」

 ステファノがスールーに顔を向けて言った。トーマに限って言えば卒業ではなく中退だが、それを言い立てるのは無粋というものだろう。

「まあね。6月で3学期は終わる。学位の授与は夏休み明けの9月になるけどね」
「夏休みはお引越し」

 スールーとサントスは夏休みの期間中に、海辺の町サポリに活動拠点を移すつもりだった。
 やがて開校するウニベルシタスに近い場所で、新しい事業を始めようというのだ。

「スールーさんの教科書事業の方はどんな感じですか?」

 スールーには「志」がある。ステファノの魔法具が起こすルネッサンスが戦争を終結させる。それを見越した将来事業である。

 平和な時代が訪れれば、人口爆発が起こると悟ったスールーは、児童教育こそが未来の鍵だと確信した。
 自分で学校を開くつもりはないが、「教科書」を広く売り出すことなら自分にもできる。

「そのためには、自動印刷機を完成させないとね」
「トーマの頑張りに期待」
「そっちは任せといてくれ。試作機はできてる。後は量産性を上げるだけだ」

 自動機械が存在しない世界で機械を量産する。自己矛盾のような挑戦だった。
 それでもキムラーヤ商会の職人たちは、機構の単純化、部品点数削減、加工性向上、耐久性改善などに精魂を傾けた。

 作ってはばらし、組み合わせては作り直す。作業場に泊まり込んでの改良作業は、ついに実を結ぼうとしていた。トーマが商会に戻る頃には、量産機の設計が固まっているだろう。
 部品量産化に必要な加工機も、それに合わせて作り上げるのだ。

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🐼「好感がもてる同性とはこういう人」――三鷹たつあき さんのレビュー

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