📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。――知力ひとつで成り上がってやる。」
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346ご愛読ありがとうございます。🙇
🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!✨」
(「第4回 一二三書房WEB小説大賞」一次選考突破!)
📖第520話 これからも研鑽に励めよ。
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https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818093074154553756📄「あの、本来は逃走や攻撃のために移動する術です。ただ高く跳んだところであまり意味はありませんが、こういうものだというご紹介までにご披露いたします」
「理解した。見せてくれ」
こくりと頷いたステファノは、声も発さずに床を蹴った。
まるで体重がなくなったかのように、ステファノの体が真上に跳び上がった。見えない紐で思い切り引っ張られているような勢いだ。
一瞬で10メートルの上空に達し、ステファノは大広間の天井に手袋をした両手をついた。
「おおっ!」
「何と! 飛んだ!」
壁際の廷臣たちからどよめきが上がる。跳べと言われて跳んだのだから当たり前なのだが、10メートルもの跳躍は「飛んだ」と言って良い程の大迫力だった。
それを詠唱もなく、一気に行った。
まるでステファノにそれだけのジャンプ力があるかのように、周りの目には映った。
「うん。見事。そこから『滑空術』で降りられるかい?」
「お許しを得て、従魔に滑空術を使わせましょう」
「よし。やらせてみよ」
天井から見下ろすステファノの問いに、ジュリアーノ王子が許しを与えた。
「トーマの所へ。飛べ、|雷丸《いかずちまる》!」
「ピーーーッ!」
ステファノの頭髪をかき分けて、アンガス雷ネズミの雷丸が飛び出した。お披露目のつもりか、あえて真っ直ぐ飛ばず、広間をぐるりと一周して徐々に高度を下げていく。
それを見て、王子の背後に控えていたジョバンニ卿が、無言ですいと前に出た。左手は腰に下げた短剣の|鍔《つば》元を押さえる。