📖第512話 こんな村なんか見たって仕方ねぇだろうに。
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……
📄ステファノが立ち寄ったのは町でもなく、店など2軒しかない村だった。店名も書かれていない店は、食料品屋と金物屋であるらしい。
他には鍛冶屋が1軒あるだけだった。
ステファノは食料品屋で少しばかり青物を買った後、鍛冶屋に向かった。鍛冶屋は老女が1人でやっていた。
「亭主がやってたんだけどよ。10年も前にくたばっちまった。村に鍛冶屋がねぇのも困るってんでさ、見よう見まねであたしが跡を継いでんの」
店先の仕事場で刃の欠けた鍬を打ち直しながら、女将は肉づきの良い二の腕を震わせた。
「納屋か物置で良いんで、一晩寝かせてもらえませんか?」
「はあ? 納屋で良けりゃあ勝手に使って良いがよ。こんな貧乏村に泊まろうなんて、変わった子だね」
「この年までほとんど旅をしたことがないんで、あちこち見て歩こうと思って」
「見て歩くったって、こんな村なんか見たって仕方ねぇだろうに」
修理の仕事に一区切りついたところで、女将はステファノを納屋に案内してくれた。
……
📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。――知力ひとつで成り上がってやる。」
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