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📖第510話 ステファノはあえて回り道を選んだ。
🌎https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346/episodes/16818023214331972980

📄「ステファノ、1週間お前の鍛錬を見て来た。お前の杖には既に|理《ことわり》が備わっている。最早この道場に留まる必要もあるまい」
「ゲンドー先生、それでは……」
「お前に足りないものは、強い体と実戦だけだろう。体を鍛えるのは道場でなくともできる。そして実戦は道場では得られぬ」

 道場で行える申し合いや試合は、所詮実戦ではない。そうであれば、ステファノをこれ以上道場に留める必要はなかった。

「世の中は広い。当道場を出て、見聞を広めるが良かろう。体の鍛錬は1人でもできるはずだ」
「先生、道場での修行をお許しいただき、ありがとうございました」
「例には及ばない。お前が勝手に学んだだけのこと。ムソウ流の名はやれぬが、お前はそれを望んではいまい」

 ステファノは無言で頭を下げた。

 道場を出たとしてもゲンドー師範の技は常にステファノの脳裏にある。既にそれは単なる映像記憶ではなく、現実を超えた理想形として刻まれていた。

(王都まで歩いてみよう)

 王族ご進講と魔術競技会参加。その予定はまだ3週間先だった。
 馬車に乗れば半日の道のりを、ステファノは歩いていこうと考えていた。

 街道を真っ直ぐに行けば、歩いても1泊の距離であったが、ステファノはあえて回り道を選んだ。
 街道を外れた小さな農村を訪ねながら、3日かけて王都に向かう計画を立てた。

 夜は野宿するつもりだった。10日分の保存食と雨風をしのぐ毛布を荷物に入れた。それでも加重軽減の土魔法を施した背嚢は、背負っていることを忘れるほど軽かった。

 土魔法を使えば馬車よりも速く移動できるが、ステファノは自分の足で歩くことを選んだ。道々の景色さえも貴重な経験であり、一歩一歩が体を鍛える運動になると考えた。

(アカデミー生活で随分楽をして来たからなぁ。少しは体を使わないと)

 ステファノはそう思っていたが、実際に怠けていたわけではない。在学中も毎日欠かさず型を行い、杖を振って来た。ステファノにとって労働以外の運動は趣味なのだ。
 それが「体への負担」になるとは考えていなかった。

 ……

📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。――知力ひとつで成り上がってやる。」
🌎https://kakuyomu.jp/works/16816927863114551346

🎬「ハリウッドよ、これが異世界ファンタジーだ!✨」

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