📕「🍚🥢飯屋のせがれ、🧙♂️魔術師になる。――知力ひとつで成り上がってやる。」
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📖第472話 先生はこれ程の達人だったか。
マランツの|指導《・・》は1カ月の間続いた。
その内容は魔術の撃ち合いである。アカデミーの魔術試技会のようにお上品なものではなかった。
防具などなしに、生身で撃ち合う。標的? イキの良い標的が目の前にあるだろう。
「遠慮はいらん。撃って来ればよい。当てられるものならな」
そう言って、ジローが術を発動しようとすれば、それに先んじて土魔法で小突く。
あるいは、わざと撃たせて陰気で押し流す。
術行使のタイミングとぴったり合わせて大量の陰気をあふれさせるのだ。ジローが練った魔力は大波に|晒《さら》された砂山のように、跡形もなく流される。
「遅い! すべてが遅い! のろのろと魔力を練るな! 術の宣言の前に集中だと? 止まるな、固まるな! 貴様はただの的か?」
マランツ自身は一歩も場所を変えていない。稽古が始まった瞬間から、同じ場所に棒立ちである。
「止まった的にも当てられんのか? ほれ、呼吸法を忘れるな! 魔力が乱れているぞ!」
ジローが必死に発する魔術を、マランツは自在に受け流し、かわし、あるいはカウンターで撃ち返した。
……