📕「🍚🥢飯屋のせがれ、🧙♂️魔術師になる。――知力ひとつで成り上がってやる。」
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📖第456話 ふん、あの豚女、けちけちしおって!
「持って来たぜ。パンとハムだ」
「おう。すまぬ。今、コーヒーを入れる」
ダニエルが母屋に行っている間に、マランツは湯を沸かしていた。
「ついでだ。コーヒーくらい俺が入れてやる」
そういうことは店で慣れていた。ダニエルはカップを見つけて自分の分もコーヒーを入れた。
「俺は薬屋だ。薬草を煎じ慣れているからな」
「ああ、そうか。それで体から変わった匂いがしたのだな」
ダニエルの体にも服にも、仕事で扱う薬種の匂いがしみ込んでいる。本人は慣れてしまって気がつかないが、他人には気になる人間もいるらしい。
「わしは魔術師だ。薬草だの、錬金術素材の匂いは嗅ぎ慣れている。てっきりどこかの魔術師見習いかと思ったぞ」
話しながら、マランツはパンを切り分け、ハムを挟む。