兵藤晴佳

20歳過ぎても地下アイドルだった紺野麻美は、アニメ声だけが取り柄だった。 事務所からアイドルものの声優オーディションを受けさせられたが、あえなく玉砕。 しかも戦力外通告を受けて、…

高校に入ってすぐ、病気で入院した幼馴染・鹿江良子（かのえりょうこ）への見舞いに足しげく通う尾上慎司（おのえしんじ）の思いは、なかなか届かない。 彼女は今、チャットルームで励まして…

桑野舎利（くわのいえとし）はお寺の息子だが、修行が嫌で一流大学を目指して現在、浪人中。 同じく、さらなる難関大学を目指して一浪している蓮見香（はすみかおり）は世話を焼いてくる。 …

僕の父には、無敵の人がいる。 何もなくすものがないと、人間、どこまでも図太くなれるものだ。 だったら……。

中部地方の山間部に、かつて草競馬で栄えた町があった。 そこで愛馬を駆ってきた若者に、あるとき、資金援助と引き換えに、八百長が持ちかけられる。 しかも相手は、乗馬を愛する清楚な美少…

ある正月の暮れ方のことである。 ひとりの若者が、道ばたで人混みを見つめていた。 見つめていたからには、そこにはそれなりの人通りがあるはずである。 ところが、若者は独りであった。 …

刀葉樹ってご存知ですか。 愛欲に溺れると落ちる地獄のひとつで、樹上の美女の誘いに乗って幹を登ると、刃となった葉に身体を切り刻まれ、てっぺんにたどり着いたかと思うと、美女は地上から…

大人たちが何て言ってるか知らないが、あのオッサンはすごいんだぞ。 ３つの大冒険から生きて帰った、すごい人なんだ。 さあ、そこに座ってちゃんと聞け、伝説の勇者の、３つの大冒険の物語…

　大学を卒業した後、いわゆるUターン就職してから４年になる。 　同居している両親のいいつけで、隣家から垣根を越えてくる枝の始末にかかった俺……生田費人（いくた　ちかひと）の前に現…

ここは、龍をも駆逐する銃をもたらした「炎の帝王」が支配する国。 その治世にあって雨は降らず、照りつける太陽の下で、人々が井戸の水に頼って生きている。 それでもまだ、谷川や泉を抱え…

　　30代の国語教師・仮屋真琴は中国兵法に詳しいＴＲＰＧオタクである。 　産休臨時任用で講師を勤める高校の授業で、仮屋はそれを隠すどころか、思いっきり晒していた。 　報いはてきめ…

老いてのんびりした夫と、老いてなお好奇心旺盛な妻が、不思議な兄弟の日誌の謎を解きます。

私、人野友美は物の怪が見える。 幼馴染の才賀郭秀も見えないことはないが、私に助けられてばかりだ。 それなのに、自分から物の怪関係のトラブルを抱え込むとは……。 2週間後には、私た…

未開の世界のエンターテイメントは、焚火の前での昔語りでした。

ハイ！ 僕はゴムボール・ゴニスン、グロリア・ジュニア・ハイスクールに通う中学生さ。 どこにでもいるティーンエイジャーだよ。 ちょっと不真面目だけど、勘弁してよ。 母さんは普通の主…

　ＡＩの進歩と物好きのオタク趣味、そして多発するアンドロイド犯罪が生み出した、人類の知恵の知恵の結晶。 　それが戦うメイド型アンドロイド……通称「バトメイドロイド」である。 　こ…

麻雀バクチにはまった俺は、まさにアリ地獄のなかにいた。 そんな俺を張り倒してくれたのは、子どもの頃から知っている不思議な近所の小父さんだった。 だが、バクチの虫はそうそう治まるも…

ものを大事にしない小学生の僕は、お爺ちゃんから不思議な話を聞かされる。 それは、若い頃、鬼嫁や死神と過ごした午後の物語だった。 ここに、生と死をめぐる凄絶な戦いが始まる！

葛見邑《くずみ　ゆう》は自他ともに認める陰キャ少年だったが、幼馴染の高飛車美少女、蓮見瑠衣《はすみ　るい》のキャラ変更は誰よりも心配している……はずだった。 だが、瑠衣が便りにし…

森の妖精と話ができる田舎の内気な若者は、街から来たお嬢様に恋をした日から、人が変わってしまいます。妖精が止めるのも聞かずに、田舎から街へと飛び出してしまいました。 少しでも偉くな…

メジャーデビューを前にした地下アイドル、関江凛（せきえ　りん）と秘密の交際を続ける推し活オタク、返見一生（へんみ　いっせい）。 彼女には活躍してほしいが、いつかやってくる別れが怖…

傘貼りでその日その日を贈る、腕は立つが夢破れた心優しい浪人者。その前に現れた老人が僅か半刻で授けたのは、必殺の二刀流だった……。

　劇作をナメきったヘタレ演劇部員の真崎周作。 　いい格好して台本を書くと大見栄切ったのが災いして、気が付いてみれば連休前。 　地区大会は目の前だ。 　焦った部員からは総スカン、か…

　越井克衛（こしい　かつえ）は、冴えない底辺校に通う高校2年生。ちゃらんぽらんな父親は昔、妻に逃げられて、克衛と共に田舎から出てきた。 　近所のアパートにひとり住まいしている宵野…

「ああ、君、魔法使いだったんだっけ？」というのが結構当たり前になっている日本で、その割合が他所より多い所に引っ越してきた佐々四十三（さっさ　しとみ）17歳。 　ところ変われば品も…

確かに何の受賞もしてませんがね、そう言い切られちゃうと何かどうもイラっと来ちゃうわけですよ、はい。

僕の実家では、第一次世界大戦が終わる頃まで、狐が人を化かしていた。 そんな田舎暮らしがイヤで、下宿してまで都会の高校を選んだけど、そこで待っていたのはバイト生活。 軍から奨学金借…

大国ジュダイヤの城に、ナレイという名の少年がいた。 　使用人の中でも使い走りで、取り柄もなければ根性さえもない。 　だが、この大国の姫君、お転婆娘のシャハロとは、実を言うと幼馴染…

ウィルスによる感染症の蔓延は、田舎の高校生活にも無関係ではありません。 たとえば、演劇部の活動はそれほど話題にも上らず、顧みるものもありません。 ですが、みんな真剣です。 高校生…