【前書き】
グガランナ戦を書き直して見ました。
グガランナがちょっと強化されてます(笑)
さらっと真眷属体による疑似カードが出てますが、そちらは後々帳尻を合わす予定です。
ギルドでのトレードでのヘカテーと八章でのアポロンの出る順番を逆にして、真眷属体の仕様を七章で説明するとか。
なお、一般公開の方の七章⑪話は最初のバージョンに戻しています。
何度も修正して、読者が混乱すると思ったので。
完全に改稿が終わったら、上書きします。
【追記】3/25
カルキノスのスキルの補足や、アンナたちによるカードキーデュラハンの装備化などをちょい加筆。
加筆を続けているうちに一枚じゃ収まらなくなったので、前後編に分割しました。
【本文】
翌日。
ギルドとの交渉を終え、キーアイテムを手に入れた俺は、いよいよグガランナへと挑むことにした。
キーアイテムは、すでに蓮華とマイラに与えている。
蓮華の方は、やはりと言うかなんというか、まだキーアイテムが足りないらしく霊格再帰には至らなかったが、マイラの方は無事新たな霊格再帰を得た。
【種族】ヴィーヴィル(マイラ)
【戦闘力】1550(MAX!)(初期戦闘力400+成長分400+霊格再帰分400+霊格強化分250+ヴィーヴィルダイヤ分100)
【先天技能】
・宝竜玉
・宝竜鱗
・宝竜息
・破鏡再び照らさず:メイド、中級収納スキルを内包。
【後天技能】
・霊格再帰:ヒュドラ(850)、スキュラ(850)、キマイラ(900)、デルピュネー(950)。数値は、初期戦闘力。
・霊格強化
・滅私奉公
・高等魔法使い
・戦略
・ヴィーヴィルの瞳
・耐性貫通
・魔力消費軽減→魔力の泉(CHANGE!)
・忠誠
・生還の心得(NEW!)
・かくれんぼ(NEW!)
・詠唱短縮(NEW!)→詠唱破棄(CHANGE!)
【種族】スキュラ(マイラ)
【戦闘力】2000(初期戦闘力850+成長分400+霊格再帰分400+霊格強化分250+ヴィーヴィルダイヤ分100)
【先天技能】
・魔女の嫉妬:美しい女性の上半身と、魔女キルケーによって変えられた六つの頭を持つ犬の下半身を持つ。すべての犬の頭を潰さない限り、不死の力を持つ。不死、生命の泉、多頭獣を内包する。すべての犬の頭を潰すことで解除。
(多頭獣:複数の頭を持つ獣。すべての頭が別々に思考・行動が可能で、同時にブレスや魔法の発動が可能)
・海神の寵愛:海神からの寵愛を受けている。水中での呼吸を可能とし、水の中でも陸と同じように自在に動ける。水辺での戦闘で、ステータス二倍。
・メッシーナ海峡の怪物:スキュラの住まう海域を展開する。味方全員に水泳スキルを付与し、水中での呼吸を可能とする。
・高等状態異常魔法
【種族】キマイラ(マイラ)
【戦闘力】2050(初期戦闘力900+成長分400+霊格再帰分400+霊格強化分250+ヴィーヴィルダイヤ分100)
【先天技能】
・合成獣:複数の動物の特徴を持ち身体能力に優れた獣の姿と、魔力に優れ魅了の力を持った淫欲の悪魔の姿の二つの形態を持つ。獣形態は、生命の泉、怪力、竜息、本能の覚醒を。美女形態は、魔力の泉、魅了、淫魔の肌を内包する。
・嵐の雲の化身:その身を雷雲へと変え、襲い掛かる。攻撃力二倍、雷の速度。獣形態のみ。
・高等攻撃魔法
・高等状態異常魔法
【種族】デルピュネー(マイラ)
【戦闘力】2100(初期戦闘力950+成長分400+霊格再帰分400+霊格強化分250+ヴィーヴィルダイヤ分100)
【先天技能】
・簒奪されし力の象徴の番人:半人半竜形態。テュポーンが切り取ったゼウスの手足の腱を隠した洞窟の番人として『財宝の守り手』としての力を持つ。指定した財宝がある地への侵入を阻む結界を張ることができる。自身は結界の中には入ることが出来ず、結界から遠く離れることも出来ない。財宝を守る間、ステータス二倍。縄張りの主を内包する。
・怪物の父の乳母:巨竜形態。同一視されるピュートーンに変身できる。怪物の父テュポーンの乳母として、『王の乳母』としての力を持つ。自身が倒されない限り、マスターへのダイレクトアタックを防ぐ。生命の泉、巨神化を内包する。
(巨神化:肉体を巨大化させ、状態異常に弱くなる代わりに、生命力、耐久力、筋力を最大十倍まで強化できる。肉体の大きさは、強化率の二乗)
・神託の巫女:人間形態。ステータスが十分の一になる代わりに、一日一回、可能性の高い未来の情報をランダムで受け取ることができる。
・高等魔法使い
増えた霊格再帰先は、スキュラとキマイラ、デルピュネーである。
スキュラとキマイラは池袋で手に入れたものとなる。
先日キマイラを見逃したのは、迷宮の主というのもあったが、すでにそのキーアイテムを手に入れていたから、というのもあった。
マイラの名前の由来は、キマイラからであったが、とうとう彼女は本物のキマイラの力を手に入れたわけだ。
ちなみに、マイラの霊格再帰先は、どれもエキドナとテュポーンの子である。
その繋がりで、ケルベロスやパイアといった他の子供たちとも戦い、そのキーアイテムを与えてみたが、残念ながら霊格再帰先が増えることはなかった。
ケルベロスは雄という説があるためしょうがないが、パイアは雌という逸話があるので、竜の属性があるか、半人半獣である必要があるのかもしれない。
これで、マイラはおそらくすべての霊格再帰先を得た形となる。
最も、このままデルピュネーにランクアップしたとしても単に変身先を失うだけなので、仮にデルピュネーの先の霊格再帰先があったとしても、よほどのことがあってもランクアップすることはないだろう。
なお、キーアイテムを取り込んだことによる蓮華のステータスの変化はなかった。
またヴィーヴィルダイヤに余裕が出てきたため、ドレスに『ヴィーヴィルの瞳』を習得させた。装備化で全体化のできるドレスに対しては、ダイヤを消費してでも与えた方が利点が大きいと判断したためだ。
「――――いよいよですね」
「ああ……」
ヘスペリデスの外、校庭の跡地から、アンナと織部と共にカードたちの出発を見送る。
今回、俺は同行しない。立川でお留守番だ。
範囲攻撃型の絶対攻撃スキルを持つ可能性が高いグガランナを相手に、マスターである俺が同行するのは足手纏い以外の何者でもない。
敵が迷宮の中にいるならともかく、幸い敵が地上に出てくれている以上、俺の同行はあり得なかった。
なお、俺がヘスペリデスの外に出ているのは、俺がヘスペリデス内にいてはヘスペリデスの空間隔離が解かれてしまうからである。
グガランナとの戦いはフルメンバーでの戦いとなるため、俺の傍に護衛を置くこともできない。
アンナと織部は、俺の護衛だった。
「準備は良いか?」
俺がカードたちを見回しながらそう問いかけると、無言で頷き返される。
「良し、じゃあ変身しろ」
俺の声に答え、鈴鹿が茨木童子に、メアはヘカテー、マイラはヒュドラ、プリマはデメテルへと変身する。
メアがヘカテーへと変身したのを確認すると、俺は三枚のカードを取り出した。
それは、カルキノスのカードだった。
メアがヘカテーへと変身した際、三相女神の効果により俺の召喚枠は二枠圧縮され、三枠の余裕ができる。
グガランナ相手に、三枠もの召喚枠を遊ばせるのは、あまりに勿体ない。
だが、今のメンバーに匹敵するカードとなると、そう多くはない。
下手なカードを入れては、邪魔になることすら考えられる。
そこで俺が考えたのが、カルキノスを入れることだった。
カルキノスは、その場にいる同一マスターのカードのロストを身代わりするスキルを持つ。
身代わりスキルの良い所は、一枚で三相女神などの二体一対系スキル持ちのロストを纏めて防げることだ。
空いた三枠に入れるには、最適のカードだった。
ちなみに、このカルキノスは、正確にはカードではなく真眷属体である。
この戦いのために、八王子から立川までの道中にあった適当なDランク迷宮を踏破し、カルキノスのカードキーを手に入れてきて、元々持っていた三枚のノーマルのカルキノスを取り込ませたのだ。
カルキノスの身代わりスキルは、半ば使い捨ても同然の使い方となるが、時間経過で復活する真眷属体であれば、その心配もない。
さらに言えば、カードキーのカルキノスのマスターも、実は俺ではなく愛である。
俺ではなく愛をマスターとしたのは、先代キマリス同様なんとなく俺とはフィーリングが合わなかったのと、強敵と戦う時以外は愛に持たせていた方が安心だからだ。
この三枚のカルキノスは、真眷属体のカルキノスをカード化の魔道具で疑似カード化し、借り受けてきたものだった。
疑似カードで「同一マスター」という条件をクリアできるかは不安だったが、疑似カードとなったカルキノスが「Maybe OK」と言っていたので、たぶん大丈夫だろう……。
「眷属召喚開始」
カルキノスを召喚すると、続いて俺はカードたちへと眷属召喚を命じた。
ヘカテーやデメテルの軍団召喚や、それに匹敵するレベルの展開力を持つ茨木童子の眷属召喚により、あっという間に校庭の跡地は眷属たちで埋め尽くされていく。
そこへドレスたちケルトの三女神の『破壊と殺戮と勝利の宴』を掛ければ、あっという間に戦闘力3000オーバーの軍団の出来上がりだった。
いつもならここで鬼子母神の羅刹召喚を行うのだが……今回はそれはしない。
何故ならば、無駄だからだ。
――――グガランナの範囲型絶対攻撃は、眷属封印の効果を内包している。
俺だって、この二週間、単にグガランナ相手に逃げ回っていたわけじゃない。
眷属をぶつけたりして、その力を探っていた。
その結果、わかったのが、グガランナが眷属封印スキルを持つことだった。
あの範囲型絶対攻撃と同時に、グガランナの周囲かなりの範囲において、一定時間眷属は存在できなくなる。
グガランナは、その逸話に『七年の飢饉をもたらす』という記述がある。
この『飢饉』という逸話は、カードのスキルになった時、眷属殺しや眷属封印として再現されるケースがある。
例えば、デメテルなどがそれだ。
通常のデメテルに眷属封印のスキルはないが、門番のデメテルは真スキルに昇華された結果、眷属封印のスキルを有していた。
Bランクの真スキルがAランク相当のスキルだとすれば、正真正銘のAランクであるグガランナがそれを持っていても、何ら不思議ではなかった。
幸いにして、範囲型絶対攻撃と眷属封印はセットらしく、眷属封印だけを使ってきたケースはなかったが、俺たちの必勝パターンである羅刹特攻が使い物にならなくなったのには変わりない。
にもかかわらず、なぜこうして眷属召喚をしているのかと言えば、一発目の絶対攻撃を使わせるためだった。
まず眷属たちを突貫させ、グガランナに一発目の範囲型絶対攻撃を無駄打ちさせる。そのクールタイムがあるうちに、アイギスの絶対防御でこちらの身は守りつつ、一気に相手の生命力を削り切る……。
それが今回の作戦だった。
「できれば、範囲型絶対攻撃のクールタイムも把握しておきたいところだったが……」
玉手箱合宿中、カードたちと対グガランナ戦について色々と話し合う中「一発目を空振りさせた後、真眷属体を使っての偵察も行うのはどうか?」という意見も出た。
しかしこれは、玉手箱から出て、真眷属召喚の仕様が明らかとなったことで却下となった。
真眷属召喚スキルで取り込めるカードの数には、制限があったのだ。
その数は、おそらく最大で三枚。
カードキーのカルキノスに、ノーマルカルキノスを取り込ませていく中で、明らかになった事実であった。
もしかしたら取り込める数も熟練度で増えるのかもしれないが、少なくとも一枚のカードキーで百枚二百枚の真眷属召喚をすることはできないだろう。
そうなると、召喚枠を全て消費したとしても、三十体ほどが全部。
これでは、ドレスの装備化スキルがあったとしても、グガランナの範囲型絶対攻撃を引き出すことはできないだろう。
素のスペックで蹴散らされる可能性が高い。
俺、アンナ、織部、師匠、愛でマックスまでカードを取り込んだカードキーを用意し、百枚以上の真眷属軍団で掛かればグガランナも範囲型絶対攻撃を使うのでは? という考えも浮かんだが、色々と考えた結果、それも却下となった。
相手もゲームか何かのキャラではないのだ、あまりにも露骨に力を探ってはグガランナにも警戒される。
最悪、一発目を引き出した後にクールタイムが回復されるまで逃げ回られるというヒットアンドアウェー作戦を取られる恐れがあった。
範囲型絶対攻撃を持つグガランナに、ヒットアンドアウェー作戦を取られてはお手上げである。
最終的に、あまり欲張らず、一発目を空振りさせるだけに留めることとした。
十分な眷属が揃ったことを確認すると、俺はアンナたちへと振り返り、言った。
「じゃあ、頼む」
「了解ッス」「うむ」
二人がそれぞれ二枚ずつのデュラハンを召喚する。
四体のデュラハンたちは、さらに各々三体のデュラハンを呼び出し、その場にはあっと言う間に十六体ものデュラハンたちが姿を現した。
俺の余った三枠の召喚枠は、カルキノスで埋まっている。
だが、Aランク……それもワールドネイティブであるグガランナとの戦いには、できる限りの備えをしておきたい。
そこで、アンナたちにデュラハンのカードキーを渡し、それにこれまで集めたデュラハンを取り込ませて、ウチのカードに装備させてもらうことにした。
俺のレギュラーメンバーは、九枠十四枚。カルキノスの分のデュラハンは少し足らなかったが、ウチのメンバー全員分のデュラハンは揃えることが出来た。
「これで、できる限りのことはしたか……」
だが、グガランナ相手にそれで良かったのか……。
敵の全貌が知れなかったことに一抹の不安を抱えつつも、頭を振って不安を振り払うと、俺はカードたちへと宣言した。
「作戦、開始!」
俺の命令に、オードリーの『万物よ我が愛し子を傷つけるなかれ』による単体絶対防御を掛けられた鈴鹿と、眷属たちがイライザの開いたゲートへと飛び込んでいく。
池袋の地に足をつけた瞬間、まずは鈴鹿が『縄張りの主』を発動する。
『ガァァァァアアアアアッ!!!!』
いつものユウキの獣の咆哮とは少し違った鬼の雄たけびが、鈴鹿を起点に衝撃波のように広がり、周辺一帯のモンスターたちが泡を喰ったように逃げていく。
Aランクの鈴鹿の縄張りは、Bランクモンスターですらも遠ざけ、残されるは必然に同格の存在――――グガランナのみとなる。
これで、Bランクモンスターからの横やりも、うっかり地上に出ている迷宮の主を殺してしまうことも心配しなくて良い。
鈴鹿に『縄張りの主』を習得させたのは、全てこのシチュエーションを作るためだった。
『ふん! さっそく来たぞ!』
茨木童子となり常と口調が異なる鈴鹿がそう言うとほぼ同時、倒壊したビルが吹き飛び、翼の生えた巨大な牡牛が姿を現した。
その体には、すでに突進攻撃の前兆である赤黒い雷が迸っている。
どうやらこの二週間逃げ回っていた俺たちが、堂々と宣戦布告をしてきたことがよっぽど気に入らないようだ。
いや、あるいは……喜んでいるのか?
いずれにせよ、感情のままに突進してくるグガランナ。
赤黒い雷を伴う衝撃波が、枯れ葉のように無数の瓦礫を舞い上げていく。
ハーメルンの笛の転移ゲートが攻撃も通す仕様であったら、こちらにも絶対攻撃の衝撃波が届いていたことだろう。
『グッ!』
グガランナの突進が、俺たちの眷属を消し飛ばし、鈴鹿に掛けられた『万物よ我が愛し子を傷つけるなかれ』の絶対防御を引きはがすと同時に、オードリーが膝をつく。
『万物よ我が愛し子を傷つけるなかれ』が破られた反動だ。
それを横目で見つつ、しかし今は構ってあげられる余裕もない。
『鈴鹿の装備化は!?』
『ッ! 健在! 絶対解除ではなく、絶対攻撃です!』
『良しッ!』
俺の呼びかけに、ドレスが即座に答える。俺はそれに力強くガッツポーズした。
グガランナの突進が、絶対攻撃か絶対解除かは、眷属を使っての偵察では判別つかないところがあった。
絶対解除だと眷属召喚や、装備化などの各種バフも解除されてしまう。
この突進攻撃が回数制限のあるスキルではなくクールタイム型のスキルだった場合、スキル回数に限りのある『破壊と殺戮と勝利の宴』ではジリ貧になる恐れがあった。
それを考えれば、まだ絶対攻撃の方が勝算があった。
『良し、行くぞ!』
『おう!』
それを確認し、手負いのオードリーをその場に残し、残りのカードたちもゲートへと次々と飛び込んでいく。
ご自慢の範囲型絶対攻撃は空振りさせた!
そのクールタイムが回復するまでの間に、片を付ける!
まず先手を打ったのは、強力な遠距離攻撃を持つユウキ。アルテミスの代名詞である弓を大きく引き、矢を放つ。
牡牛であるグガランナに女性特効が乗るかはわからないが、それが無くとも『矢を射かける者』の一撃は、絶対命中。
その巨体では考えられないほどの身軽さでその場を飛びのいたグガランナを追跡するように、高等攻撃魔法を装填済みのアルテミスの一矢が突き刺さる。
「キュォオオオオン!」
響き渡るグガランナの甲高い悲鳴。
良し、効いている! 少なくとも、今のユウキとそんなに酷く戦闘力が離れているわけではなさそうだ。
ユウキの一撃に続くように、鈴鹿やモリーら前衛組がグガランナのへと張り付き攻撃を開始、後衛組も魔法を放つ。
良し、このまま削り切れば……ッ!?
思わず、眼を見開く。――――グガランナが、全身に赤黒い雷を纏い始めていた。
「なッ!?」
まだ一発目を放って数秒と経っていないんだぞ!?
驚愕に目を見開きつつも、咄嗟に吠える。
『アテナ!』
『ええ! アイギスの盾よ!』
アイギスの絶対防御の光がカードたちの身体を間一髪覆うのと同時、グガランナを中心に衝撃波が放たれる。
「クッ! アイギスの絶対防御が……!」
これで、カードたちの守りが無くなってしまった。
だが、今度こそクールタイムが……ッ!?
―――――グガランナの身体を覆う赤黒い雷光。
「三連発ッ!? ふざけ……ッ!?」
俺が悪態を吐くよりも前に、三度目の衝撃波がカードたちを襲う。
俺に出来たのは、全員に縮地での避難を促し、同時にアムリタの雨を使用させることくらいだった。
ありとあらゆる防御を無にする絶対攻撃の突進が、無防備なカードたちの肉体を蹂躙する。
『みんな、無事か!?』
すぐさま、リンクを通じてカードたちの生命力を探る。
『クッ……! アケーディア、それにカルキノスたちが落ちたか……!』