「帰り道」シリーズの一番最初の章、神域ダスタニア編についての裏話を少ししていこうかと思う次第です。といっても、大体本編で語り尽くしたところではあるのですが。とりあえずあらすじです。
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〈あらすじ〉
大魔王を倒した勇者と賢者ルラは戦いの最中に命を落とした仲間を連れて大魔王の居城に最も近い街、神域ダスタニアまで戻って来た。勇者は世界随一の宗教都市で彼らを葬ることを決める。しかし、死穢を恐れるこの街で葬送を行う事は、容易なことではなく……。
※以下はネタバレを含みます。ぜひ本編をご覧ください(渇望)。また、一部現在は差別的な語を含みますが、当然作者自身は、差別を肯定するつもりも意志もありません。しかし、万が一気分を害されるようでしたら、途中で読むことを辞めて構いません。
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①街の名前
神域ダスタニア(Destania)という名前は、文字通り、デスティ二ー(destiny)が語源です。Deはどうあがいても「ダ」とは読まなそうですが、デスティニアだとあからさますぎるし、なんとなく邪悪な雰囲気がしてしまいそうだと思ったので、苦肉の策でこうなりました。モデルは某有名RPGの宗教都市です。もちろん、こんな問題意識は(少なくとも攻略の上では)ないですが。
②化外の民
化外(けがい)とは、支配や文化が及んでいない場所のことを言います。高校日本史を勉強した方は、「化外の民」というと琉球漁民殺害事件(宮古島民殺害事件)のときに出てきた単語を思い出しますかもしれませんが、あの時は「中国」が文化が及ばない場所として「台湾」をそう呼称されていました。じゃあ攻め込んでいいのだろうということで、事件の3年後、これを一つの原因として、日本は台湾出兵をすることになります。
ダスタニアにおいては、教皇をトップとする宗教を信仰しない人間を化外の民として扱っていました。そして、彼らに死穢に関わる仕事を強制していたわけです。化外の民は差別されるけれど教徒たちから報酬を受け取れる。教徒たちは死穢に触れなくてもいいが、報酬を支払わなければならない。そんな、複雑な差別関係、サイクルが構築されていたのです。
最終的に勇者はこれに傷を与えました。神官たちが葬儀を行ったということは、最早化外の民にすべてを任せなくてもいいということになる。そうなれば、この街において化外の民に残るのは差別だけということになります。勇者の最適解から漏れ出た人というのは、例えばこういう人々のことを指すのです。
また、化外の民の表象(差別されること。しかし欠かせない人々であること。=貧乏でないこと。強い力によって、特権を失いつつあること)には、いわゆる被差別民を参考にしています。これについては、あえて、多くは語らないことにします。読んでいただいた方が判断してほしいと、作者は思っています。
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裏話というより、詳細を話すことになってしまいました。というのもあまり裏を話しすぎるとこの先のネタバレになってしまうかもしれないので(これでも、この先の見通しはあるのです)。
次回はディダクト村について話していこうかなと思います。また、このノートも思い出したように更新するかもしれないので、ぜひ見てください。