獲物を追って山深く分け入った二人の猟師。 山の神とも見まごう巨大な牡鹿……足跡に魅入られ、その、長く幸福な一日は始まった。

昔、愛車のアコードワゴンで日本一周した時の思い出の一コマを短編小説にしてみました。

織田祐二は17歳の高校生。 勉強も運動もそこそこ、やりたいこともなりたい自分もなく、意図せぬ自分探しの日々を漂うように生きてきた。 しかし、二人の人物に出会うことで、彼の中の何か…

無にましますわれらの無よ、ねがわくは御名の無ならんことを、御国の無ならんことを、御心の無におけるがごとく、無においても無ならんことを。

夜明け前のベーカリー。 人通りの疎らな大通りを見下ろす喫茶室。 目覚める街を活写するスケッチ風短編小説。

ずぶ濡れの女が転がり込んだ時、無人のフロアは薄暗く、床屋は暇を持て余したように新聞を読んでいた。濡れた髪を乾かした床屋に、女は嘘のような身の上を語り、髪を切ってほしいと言う。 床…

理想の教育者を目指して飛び込んだ教育の世界。しかし、浩史がそこで体験したのは、堕落と妥協、そして校内暴力の洗礼だった。失望と幻滅。すべてを失った浩史は部屋へ引き籠もり、一人妄想の…

徹夜明けには酒をくらって眠りこけ、女の電話で呼び出される。なんとなく遊んだ後は、セックスして眠るだけ。自堕落な大学生の休日をのぞき見る……

夏期休暇を利用して、一人バルセロナへやってきた日本人バックパッカーのアキラ。 途中、アメリカ人記者のマイクと道連れになり愉快な時をすごすが、やがてカルメン、マリアという美しい姉妹…