渋谷のスクランブル交差点で
「ハッピーハロウィン! フィっフー!」
なんて叫ぶ青春を送ってみたかったんだよおおおおお!
こんばんは、中の人です。
とうとう、満を辞して、待望の、ついに、at last
6人目のメンバーの作品掲載です。
うつりと設立当初から、最も期待されていた・・・
かもしれないのに、なかなか作品を出せなかった
メンバーの一作目です。
この方、すでに三作以上執筆されているのに
掲載ができませんでした。
いろいろあるんです、うつりとは。
体調とか、体調とか、体調とか。
今後、天野さんの作品のラッシュになる予感。
ご期待ください。
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以下、ミニ小説をここで書くという実験。
「文芸部的な、余りに文芸部的な」
寝手場架莉
寝手場は根岸の長屋のたった二畳の部屋で悩んでいた。
窓際に置いた文机の上の四百字詰原稿用紙には、
一文字も書かれていない。
「旅に出よう」
猫にマタタビ、足袋は姉履け、旅は道連れ世は情け。
浴衣に山高帽という出で立ちで、寝手場は家を出た。
伊豆温泉宿に着くと、少女が全裸で手を振ってきたが、
スマホを向けると逮捕されるので、くるりと背を向けた。
「ガス爆発で死のう」
そう思いAmazonでガスボンベを買おうとしたが、
VISAカードの期限が切れてアカウント停止にされている。
仕方なく東京に戻り、玉川上水に飛び込もうと決意した。
「言うほど水がないな」
秒で断念する。
「おばばよ、いい死に方はないかね」
寝手場は国分寺書店のおばばに問いかけた。
「いいから本を買いなよ」
「芥川が生きていたら、異世界転生を書いたかな」
「たまには漫画以外も買いなよ」
寝手場はおばばの話を聞かず、
書店の灰猫【字意句】の背を撫でる。
原稿用紙は白いまま。