魔法工学の隔世人、は個人的に思い入れのあった作品です。
ロボットは関係ありませんよ?
自分は野心的にこの作品で『新たな魔法の定義づけ』をしたかったからです。
英語などの他言語とは関係なく、日本のサブカルチャーにおいてです。
この『魔法』という存在は、私の出るまでもなく「既に定義づけられた」といっていいでしょう。
少し不思議な能力。
おそらくRPGを由来として、魔法というのは幻想を叶える道具として、ファンタジーの分野で明確な市民権を得ました。
しかし私は理系の人間で物理も得意、プログラミングも学び……実は人間はその内、宇宙そのものを作れることが可能だと知りました。
現代のサブカルチャーにおける魔法とは、あえて幻想を叶える道具として、そしてなによりも現実には存在しないものですから。
コミカルに描き、むしろリアリティを放棄して、ファンタジーをよりファンタジックに描く舞台装置として親しまれていると私は分析しています。
しかし私は、魔法をただのファンタジーで済ませるのを惜しいと思いました。
なぜなら魔法は現実に存在しえるからです。
……頭おかしいと思いました? 待ってください、私は冷静だ!
もちろん大の大人として、魔法が現実に存在する(かも)よ、と声を大にして言うのはまずいのはわかっています。
本気で存在していると思っているわけではありません。
でも同時に、ないと証明するのはすごく難しいと思いませんか?
拙作でも触れましたが、現在の文明を支える科学。
これらは正式には、自然科学と言います。
自然とは何ぞや?
これはクイズ番組などで流行りましたね。
「自然の対義語は何?」というクイズです。
答えは「人工」です。
現在の科学を自然科学と呼び、じゃあ自然科学の対義語は何かというと、政治学や民俗学、つまり自然ではなく、人間が関わってできた社会性などを学問ととらえて研究する分野です。
つまりここで、人間が関わる「人工の学問」と、人間の関与が関係しない「自然な科学」と分けられたということですね。
頭のいい人たちは凄い。
じゃあ……。やっぱり魔法は存在しない?
それを証明するのは難しいですよね。悪魔の証明です。
そして1週まわって自分は思うのですよ。
「自然の対義語は本当に人工か?」と。
このクイズはいわばミスリードで、「不自然」と答えさせてハズレとするひっかけ問題でした。
最近は不自然も間違いじゃないという声も聞きますが。
自然の対義語は、不自然じゃまずいのか?
テストの答案用紙には堂々と「人工」と書きながら(クイズで学んだから答え知ってるもんね!)、頭の中では思っていました。
一応頭の中では両者を切り分けていたんですよ。一応ね?
自分の中で答えは出ました。
魔法というものの定義づけ。
それは「不自然な法」ということでした。
自然とは何か。
それは万物に共通するルールです。
例えば重力。
重たい物も、軽い物も、大きな物も、小さな物も。
実は落下するスピードは同じです。
物理の初歩で覚える重力加速度ですね。
でもそれらの法則が、万物に適用できると誰が保障できるでしょう?
一部の法則は、とある何かには適用されなかったり。
あるいは一部のものは、他には作用する法則の影響を受けなかったり。
そういう、「不自然な法則」、「不自然な物」。
そういうものがこの世に存在するのではないでしょうか?
自分の作品にそれを登場させて、私はそれを「魔法」としました。
この定義づけは、あるいは他の創作者の思考を狭めて、魔法という存在を窮屈にさせる発明かもしれません。
しかしこうと定めることで、私の中で魔法というのは「あるいは現実に存在しえる物」として、定義づけられたのでした。
宇宙は広く。
そして観測に難しい、素粒子などが存在します。
FFをプレイして、シリーズをプレイする度に登場するこのダークマターとは何ぞや?とネットで調べて納得しました。
人間の科学が、万物、宇宙の真理を全て解明できるとは限りません。
あるいは科学の発展の中で存在するノイズは、実は魔法が作用しているのかもしれません。
私が子どもから大人になるに釣れて、文明は進み、そして世の中に娯楽は増えました。
私が子どものころは、ゲームか漫画かスポーツかで、RPGはメジャージャンルとして子どものほとんどが通る道でした。
だから魔法やファンタジーが、共通言語で通じ人気のあるジャンルとなったのだと思います。
しかし最近のゲームはさらに多様化して、子どもの娯楽は増えました。
動画などは無料で見れます。
小説もそうですね。
子どもが触れられる娯楽として、ファンタジーや魔法は、共通言語としての位置を確立したまま、むしろその地位を支え合うようにしてジャンルとして不動の位置に立つのか。
それともいつしかその神話が崩れるのか。
どうなるんでしょうね。