異世界では度々見かけるヒト種以外の獣人や亜人と呼ばれる種族の人々。
彼ら彼女らは、人としての性質と、獣や虫としての性質を併せ持っている。
現れる特徴は人によって違い、ヒト種としての要素が濃く、猫耳をつけただけのように見えるような人もいれば、顔のほとんどまで毛に覆われているとか、発語も難しいような人もいる。
「主、これなに?」
「これはマタタビだよ」
「マタタビ?」
渡が用意した粉末にエアが興味を示した。
まだ袋に入っているはずなのに、鼻をスンスンとさせて興味深そうにマタタビの入った袋を見つめている。
亜人の人々は大なり小なり、それ等種族の能力や特性に色濃く影響を受けていた。
たとえばエアなら、耳が良く、目は夜闇でも見通すことができる。
俊敏で身軽、そのうえ膂力にも優れるといった調子だ。
同時に猫じゃらしのようなものに興味を惹かれて仕方がなかったり、燻製肉や魚が大好きといった特徴もあった。
では、エアにマタタビを与えるとどうなるのか。
「気になるのか?」
「う、うん」
渡の手元から視線が外れない。
チラチラと熱っぽい視線を送っている。
猫科と言えばマタタビだ。
エアも喜ぶだろうと思っていたが、袋に入った状態ですでに興味を持つとは思わなかった。
渡が袋の封を切ってエアに渡すと、エアはおずおずと顔を近づけた。
とたんに顔がうっとりとしたものに変わる。
「ふあっ……なにこれ……」
「どうした?」
「わ、わかんない。でもなんか……いい匂い……」
スンスン、と鼻をひくつかせてマタタビを吸い込む。
しばらく夢中になっていたエアだったが、ぶるっと体を震わせると、たまらずといった様子で声を上げた。
「ん゛っ!!」
顔がかあっと赤く染まり、肌から汗がにじみ出る。
なんかとても色っぽい。
媚薬を飲んだ時のような反応に、渡はドキドキしはじめた。
エアは鼻を袋に近づけると、夢中になってマタタビを吸い続ける。
「お゛おっ❤ あっ、す、すごいっ❤ な、なんかき、気持ちよくなってきちゃった❤」
うっとりとした熱のこもった声。
ぷっくりとTシャツの胸の部分に押し上げる膨らみがあった。
目が潤んで、はあはあと息を荒げさせ、まるで何かから耐えるように体を抱きしめる。
「こ、これ、触られてないのに、頭がき、気持ちいい❤」
ヤコブソン器官と呼ばれるネコ科の生物に見られる脳の一部が、マタタビと反応し、エンドルフィンやドーパミンといった快楽物質を多量に分泌する。
その効果は一説にはドラッグと似たものがあるという。
「ん゛にゃっ❤ お゛お゛お゛っ❤ 〇ぐっ❤」
「お、おい、大丈夫なのか!?」
ガクガクと腰を震わせて、エアがテーブルに上半身をもたれかけた。
ぽたぽたっ、と床に水音がした。
内ももから内くるぶしにかけて、エアのむっちりとした脚が濡れている。
「き、禁止! もうマタタビはダメ!」
「そ、そんにゃあ! お、おねがいっ、もうちょっとだけぇ!!」
「こんなもの使わなくったって、俺が満足させてやる!」
「あ、あるじぃ❤」
こんなものにハマったら、エアの今後が心配だ。
渡はエアを寝室に連れ込んだ。
二度とマタタビが欲しがらないと誓うぐらい、たくさん満足させた。
これ以上書くと運営から怒られそうだったので唐突ですが終わります。