ちょっとクロスオーバー的な?
会話文です!誰が誰か分かるかな?! プレゼントSSなので深く考えずに読んでいただけたら(笑)
もっとたくさん入れたかったんだけど……(T^T)
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重厚な扉が開かれると、待ちわびていた客人たちが続々と入室を始めた。
温められた会場には大きなテーブル、そして真っ白なクロス。差し色の赤と金が鮮やかに目を引き、敢えて花を除いたリーフアレンジメントが落ち着いたグリーンで場を整えている。
誇らしげなカトラリーは一点の曇りもなく整列を終え、きらびやかな会場を写し込んでいた。
ゆらめく柔らかな灯りは、決して中央のクリスマスツリーを損なうことはない。
先頭で弾む小さな人影が、頬を染め上げて振り返った。
「すっごい! すごいね、クリスマスパーティだよ?! うわあ、うわあ!!」
意味のない感嘆詞がしきりとその小さな口からこぼれ落ち、全てを視界に収めんとする黒の瞳がまばゆいほどにきらめいている。
「すげー! 俺ら王様みたいじゃねえ?! 本物のパーティだぞ?!」
「本当、これは想像以上だね~! 僕、こんな所にいていいのかな~」
興奮するユータのお守りをするように、左右を挟んでいた少年二人は、対称的な顔で会場を見回した。
「まあ……こういう雰囲気、久々ね。本当に美しいわ」
「俺、帰っていいか……?」
「いいわけないよね?! ほら、僕たち――とあとユータの知り合いしかいないんだから、大丈夫だって!」
「お任せ下さい、このマリーらメイド一同、必ずやご主人様めをこの会場内に捕らえておきますので! コード:デッド・オア・アライブ発動です!」
「それはいいのですが、会場を破壊するような行為は慎んでいただきたいですね……」
「良くねえわ! 生死は問えよ!!」
「そんなマリーちゃんも素敵! まさに戦女神!! あのでもちょっと不満があるとすれば、いやいや最高に美しくていつだって素敵なんだけどね?! だけど、でも、だって……なんでメイド服なのぉおー?!」
人目を引く美青年が、悲嘆の叫びを上げて蹲った。
ユータ含む華やかな集団は、その美麗な佇まいのみならず、その騒々しさでもって周囲の注目を浴びている。
「うっわ、うわ! カロルス様、やっぱカッケー!! 俺らって直接声かけてもらったんだよな?! つうか一緒に飯食ったよな?!」
「いやほんとマジ格好いい。馬鹿馬鹿、私の馬鹿、あのときちょっとくらい英雄について知っていれば!! 今なら予習復習完璧なのに……! もっと同じ空間を存分に味わっていればぁ……!!」
「諸手を挙げて同意」
着慣れないのであろう正装に居心地悪そうにしていた3人が、興奮した様子で囁き合っている。
「でっかい囁き声だねぇ。ロクサレンの方々だから許されているものの……」
淡い緑髪の女性がため息を吐くと、そっくり同じ色合いの青年がくすりと零した。
「英雄様だものね。キルフェは? 握手でもしてもらうかい?」
まるで着ぐるみを前にした幼児にするように、慈愛に満ちた瞳でそっと背中を支えた。
「馬っっ……鹿にすんじゃないよ?! あんたあたしをいくつのガキだと思ってんだい?!」
途端に頬を紅潮させ、背中の手がはたき落とされる。
「ええ……でも、声かけたいでしょう?」
「別にっ! むしろどっちかというとあの王子様みたいな子の方が……じゃなくて!」
こちらはこちらで盛大に騒がしい。
既に会場は隣り合う人の声が聞こえるかどうか。ずいぶんな賑わいを見せていた。
「――え、これってお酒? オレ、飲んでもいいの?!」
手渡されたシャンパングラスに目を丸くして、期待の籠もった視線が上を向く。
「ふふ、大丈夫ですよ。こちらのシードルはノンアルコールになっています」
「そっか……」
「お酒よりもずっと美味しいと思いますよ?」
ガッカリ、と顔に書いてあるユータに、スタッフが笑いを堪えて微笑んだ。
「確かに! お酒、おいしくないもんね。オレこっちでいいよ!」
「こっちでいい、じゃねえわ。酒なんて飲んだら、ひとくちで酔っ払いの完成だろ」
「あれはあれでカワイイからいいけどね~」
ラキのしなやかな指が、ついと膨らんだ頬を滑った。
壁際から、鋭い眼光がその指を、頬を見つめている。
無表情な男の視線は、何を語るでもなく固定されていた。
ふいに肩に飛び乗ってきた小猿が、男の頬をつついて身を翻した。
「…………」
『アァーッ! ヤメテー!』
素早く離脱をはかった小猿が、見事に首根っこを掴まれて宙ぶらりんになっている。
じろり、と男が視線をやった先は、傍らの青年。
「チョット何さ、寂しそうだったから構ってあげたってのにねー?!」
『ネーッ!』
「誰が」
ぶん、と放り投げられた小猿が、青年の顔に激突寸前でキャッチされた。
「フン、あーんな物欲しそう~な顔して『誰が』とかクール気取ってもねえ~?」
『キドッテネェ~?』
器用に男の真似をしつつ、小猿と顔を見合わせ首を傾けてみせる。
舌打ちしてそっぽを向いた男が、壁に背中を預けて腕を組んだ。
「分かる……分かるぞその心中が! 『あの柔らかそうなほっぺ……触りたい! でもでも俺ってこんな顔だしぃ、近付いたらみんなギョッとす――』おわぁっ?!」
ヒュッと風を切った手刀……と思いきや、指の間で何かがチラリと光を反射した。
「ちょっとぉ?! 今の手刀でよくない?! 暗器必要だった?!」
『チョッチョットォ?!』
思い切り飛び退いた青年が、小猿と一緒に歯をむき出して怒っている。
「そんなことするなら俺だけ行っちゃうもんね! ユータの柔らかそう~なほっぺもにもにしちゃうからね!」
『カラネー!』
睨み付けるモスグリーン瞳が、わずかに細められた。
「……柔らか『そう』、じゃない」
どことなく変化した雰囲気を敏感に感じとって、青年は呆れたように小猿と顔を見合わせた。
「えー……それってマウント取ってますぅ? 俺は既に経験済みだぜみたいな?」
『ミタイナー?』
「あの、お二人とイーナ、ちょっと静かに……」
「まあうるさいのはピピンだけだけどな」
年長らしき二人は、深々ため息を吐いて額を押さえていた。
「待て、まだ飲むな! もうすぐだから! 皿をめくるな、下にも料理はねえから! それは野菜じゃねえ、食うな!」
長髪の美丈夫はグラスを持つ幼児の手を支えつつ、伸ばされる小さな手からありとあらゆるものをガードせんと目を光らせている。
「なんで、飲んだだめ? これ、りゅーの」
確かに自分に渡されたはずだと見上げた視線が、動かない表情よりよほど雄弁に不服を伝えている。
「そうなんだけどな?! 乾杯してから飲むんだよ! ファエル、ここにいろ!」
彼は幼児の肩からつかみ取った何かを、蓋代わりにすべくグラスに乗せた。
カエル……だろうか? 背中には二対の羽が生えているけれど。
「ちょ、狼藉者めが……ァアア?? ヤダなんかこう、我の腹にピチプチ冷たい飛沫を感じるんですけど?!」
「つうかあの野郎どこ行きやがった?! くそ、一番厄介なヤツが……」
銀の瞳が、鋭く会場を巡る。どうやら、もう一人同行者がいたらしい。
「りゅー、自分でもつ」
方々へ目を走らせる美丈夫のことなど知らぬげに、幼児はグラスごと自らの手を包み込む大きな手を剥がし始めた。
「おおおいっ?! 待て待て、俺には完璧にこの先の未来が見える! やめろ!」
「りゅー、大丈夫」
「何ひとつ大丈夫じゃねえぇ! あっ、ほら、見ろもうすぐ乾杯だぞ? な?」
前方で乾杯の準備が始まったのを見て取って、納得した幼児がこくりと頷いた。
安堵した美丈夫が肩の力を抜いた瞬間。
「りとも、どーじょ」
テーブルにあったグラスを、小さな手が押しやった。
「ぬああ?!」
儚く倒れようとしたグラスは間一髪、大きな手に支えらて難を逃れた。
無事に左右の手で別のグラスを支え、汗を拭う。
そして、その間立ち上る泡に興味を持った幼児は、まんまとグラスの中に手を突っ込んでいた。
「――おお、やっと乾杯か。飯だ、飯!」
「いきなりガッつかないでよ?! 父上は目立つんだからね?!」
「ユータちゃん、こっちへいらっしゃい。一緒に乾杯しましょう!」
「うん! ねえ、みんな覚えてる? 乾杯の時はメリークリスマスって言うんだよ?!」
「もちろんです! メリークリスマス! イタダキマス! ですね!」
「あっ、うん、えっと……合ってるような合ってないような……」
考え込むユータの隣で、そわそわする少年がもう一人。
「とりあえず早く食いてえ~! 料理は? 料理はいつ食えるんだ?!」
「ブッフェスタイルっぽいから、このテーブルいっぱいに並ぶと思うよ~。楽しみだね~」
「ユータ様、テーブルが少々高いですから、料理が揃えば私が取り分けて参りましょうか?」
「うーん、じゃあ、一緒にまわろうよ!」
「いえ、……はい」
わずかに揺れた銀灰色の瞳を見上げて、ユータがにっこり笑う。
「おう、俺とは一緒に行かねえのか?」
にやっと笑みを浮かべた精悍な男性に、ユータの頬が丸く膨らんだ。
「一緒に行ってくれるの?!」
「んーまあ、5回目くらいなら?」
「ほらやっぱり! そんなに食べられないから!!」
地団駄を踏むユータを囲む、皆が笑った。
ちょうど、ツリーの前では準備が整ったらしい。
挨拶もそこそこに、グラスが前へ差し出された。
「それでは皆様、メリークリスマス! 乾杯!」
「「「メリークリスマス!!!」」」
会場には、光が弾けるように笑みが連鎖していったのだった。
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メリークリスマス!!
もふしら&デジドラ部分的クロスオーバーでした!
時間合ったらもっと書きたいな……
〇登場キャラ
ユータ タクト ラキ カロルス エリーシャ セデス マリー グレイ アッゼ
草原の牙:ニース ルッコ リリアナ
鍋底亭:キルフェ プレリィ
放浪の木:レンジ マル―ス ピピン(イーナ) キース
デジドラ:リュウ リト ファエル (ラザク?)