翌朝。
曹五は約束どおり、大きな袋で1,500銭を持ってきます。
田朔はその場で全部数えます。
曹五は言います。
「本当に数えるんだな。」
田朔は答えます。
「1,500もありますから。」
大きな金額になっても、数えるところは変わりません。
そして今回も、紙は作りません。
大金を預かっているのに、関係はまだ口約束のままです。
同じ日の午後。
今度は杜三が田朔へ尋ねます。
「曹五はいくら出した?」
田朔は教えません。
「言えません。杜三さんの話も曹五さんにはしていません。」
曹五には杜三の話をしない。
杜三には曹五の話をしない。
それぞれが、自分だけが田朔の商売に乗っているように見えます。
杜三は対抗心を見せます。
まず自分で800銭。
さらに手下からも金を集め、合計1,100銭にします。
曹五が1,500銭。
杜三が1,100銭。
合わせて2,600銭です。
少し前まで、田朔は100銭単位の元手をどう作るかで苦労していました。
今は、自分の銭ではないとはいえ、一度に2,600銭を動かせるところまで来ています。
田朔は目の前の銭を見ても浮かれません。
この金を全部使う必要があるのか。
どれだけ残せるのか。
次に考えるのは、そこです。