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エアメイクノイズ

不意に詐欺師の人となりが浮かんできた。
彼は本は目次と最初のページしか読まないし、映画は倍速で見る。
速聴には興味がないが語学が達者。
だが勉強は滅茶苦茶した。有名大学に入れるレベルだ。しかし彼は急に詰まらなくなってドロップアウトするために姿を消す。
しかしそういう彼の性格は説明できるが、いったい彼がどこで生まれ、どんな少年時代を送ってきたかは謎である。本人が語ってたのではなくて高校時代の彼の知り合いが友人から聞いた話である。

というところで…
不意に思う。
この小説、また聞きが多い雰囲気にしようと思う。
本人をよく知ってる人が語るのではなく、本人をよく知っていると言ってるある人物からの話→噂 で、進んでいく。
それと自分語り。
つまり妄想と噂、偏見と過大評価で誤解だらけの物語。
誤解が解けて行ったり、膨らんで弾けたところがかえって良かったり、
基本おめでたい話になれば…と妄想してはや10年が過ぎた…
なんてこともあり得る進み方で良い事にしよう。
といいつつ乗ったら内容がないまま凄い速度で完結してるかも。

アンジーは綺麗好きで庭付き一軒家に1人で住んでるうら若き未亡人だという噂もアリ

詐欺師はフランスの血が入ったアランドロンの子孫だという噂は自分で流したような痕跡があったり

本人はしかし全くと言っていいほど馬鹿正直すぎて、聴いたことをそのまま信じるお喋りでデリカシーのない人柄…でも気は優しいし面倒見がいいオタク

がいいな。

取り立て人はシベリアで今も秘密裏に行われている捕虜収容所の役人上がりでヒットマンという噂が立ってるが、本当は大学中退した理由が寺山修司を読んだからで、融通が利かない人…みたいなベタな感じがいい。すぐパンチパーマにしたが、それがきっかけでスカウトされ、断れない彼は真面目に仕事をこなしていった…。


なんとなく今の自分の状況を書いて憂いていたら、主人公と重なった。別の意味で合致したのか、この主人公がやはり自分に近いけどいつも見ることのできない自分なのか。考えた事が即役に立つ。

前後のストーリーも不意に浮き上がってきた。


ヒットマンでアトランティスやムー大陸とも通じてて、NASAとの機密連絡係で、宇宙人と交信してる

というのを詐欺師が詐欺師の数ある恋人に吹き込んだ。吹き込んだ内容はさながら鳥のさえずり。ツイッターと絡めると良い。

その噂はたちまち広まり、取り立て屋は引きこもりになる。社会復帰の第一弾が主人公の取り立てだった。

だが、詐欺師取り囲む集団は一斉に取り立て屋にあらぬ噂を騒ぎ立て、青くなり逃げ出してしまう。それをみんなイベントのように楽しんでいて組織化されていた。

主人公は流石にそれを全部信じる事はせず、ようやく全部嘘だと気付き、そこから詐欺師との嘘のない交流をせざるを得なくなるが、詐欺師は嘘をつかないとまるでロボットのように無感情に見える。

主人公は魅力を感じないが、アンジーがそんな彼が好きと言う。不器用なあなたが好き。
したらオズの魔法使いの案山子みたいにハートを手に入れる。案山子は元からハートを持ってたけど詐欺師は本当にずっとしまってきたものだった。


そんなストーリーもいいな。

主人公は一人称だけど傍観者でキューピッド。つまり寅さんみたいな。

夕暮れの商店街、後ろ手に振りながら2人にサヨナラ。
くれると言ってた手紙も来なかった。

僕のそばにいてくれる恋人がいないと思うのが寂しいから、僕にもいつかあんな2人みたいな関係が訪れるといいな。
夕陽の色が100パーセントオレンジジュースみたいに甘く、でも容赦なく酸っぱく僕の心を貫いてく。傷口に染みるなぁ。ビタミンCが傷を治すなんて本当なんだろうか。もっとひどくする気もする。

でもいつかこの思い出がこの上なく甘いものとして残るって事はすごく感じていたんだ。


みたいな終わりにしたいけど変わるかも。

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