2018年6月30日で締め切りになった、「怪談えほん」コンテスト、っていうのがあったんですよ。
私は二作出して、一作が一次通過。二次で落ちました(^_^;
(大賞を受賞された方、おめでとうございます)
さて、その、二次落ち作品を読みたいな、とこの前、コメントいただいたので……。
『近況ノート』に 公開してみました。
700字(絵本なので)程度なので、掲載するにも、どこに載せれば良いかわからず……。
以下、本文です
◇◇◇◇
『タンスのひきだし』 武州青嵐
タンスのひきだしを開けるのがこわい。
お母さんは「もう小学生なのよ」と、おこるけれど。
タンスのひきだしを開けるのがこわい。
せんたくが終わった服を、お母さんはいつもわたしの部屋のタンスにいれる。
だから、毎朝わたしは、ひきだしを開けて今日着る服を出さなくてはいけない。
だけど。
タンスのひきだしを開けるのがこわい。
だって。
なにが入っているのかわからないんだもの。
だから、毎朝お母さんにたのんでひきだしをあけてもらう。
「ひきだしのなかには、服が入っているにきまってるじゃない」
お母さんはあきれてわたしに言う。
わたしは心の中でお母さんに言い返す。
ほんとうに?
ほんとうに、服がはいっている、って言える?
ほんとうに、服だけが、入っているって、言える?
「ほかに、なにが入っているのよ」
お母さんはふしぎそうにわたしに言う。
そんなのきまってる。
こわいものが、入っているにきまってる。
だって、わたし、聞いたんだもの。
夜中に目がさめたとき。
かたかたかたかたかたかたかたかたかた、って。
タンスのひきだしがゆれて、音が鳴っていたのを。
だって、わたし、見たんだもの。
夜中に目がさめたとき。
白くて。
長いゆびが。
タンスのひきだしから出てこようとしているのを。
「明日の朝から、ちゃんと自分でひきだしを開けて、服を出しなさい」
お母さんはわたしに言う。わたしは「はい」と、しかたなくへんじをした。
その次の朝。
タンスのひきだしを開けたら。
長いかみのおばあちゃんが横になって寝てて。
目が合ったら。
にたり、と笑われた。
そして。
白くて。
長い指でわたしのうでを、がっしりつかんで言った。
「開けてくれて、ありがとうよ。さぁ、交代だ」
ほら。
お母さん。
タンスのひきだしの中には、こわいものがはいっていたよ。
了
◇◇◇◇
以上でございますm(__)m
絵本は今まで書いたことがなくって。
たしか、字数制限が1000文字だったかな。
とにかく、字を削るのと、「どこまで、漢字を使えるのか」で悩んだなぁ(笑)