• 現代ドラマ

8月16日

ふむ。そろそろお仕事が始まります。ちょっとずつ真人間の生活リズムに戻さねば。

それでは昨日言ってたお話を。

ボクは皆さん知っての通り両親は共働き。それに性格はそこまで暗い人間ではありませんでしたが、積極性に欠けるというか、自分から動くのが苦手でした。その為友達という友達がいる訳でもなく、だからといって腫れ物扱いされる訳でもなく…なんというか、クラスメイト。これが周りの目から見たボクの評価でしょう。

そんなボクですが、夏休みには短期で学童サービスを利用していました。親としても安心出来るし、親からすればボクが退屈することは無い。そう思っての事なんでしょう。ですが行き慣れた小学校ですら友達の出来ないボクが短期のうちに仲良くなれる訳もなく。学童というのは遊び道具と寝る場所とお菓子を提供してくれる場所。家よりは、マシ。そのぐらいの感覚でした。

例年通り学童に行く事になったボク。小学五年生になっても性格は変わらず、なんともいえない関係を保ったまま小学校生活も終わりを迎えそうでした。

久々の学童は何も変わらず。ワーワーとはしゃいでいた子供がボクを見ますが、知人じゃ無いとわかった瞬間にそっぽを向いて遊びを再開します。

まあ、いいや。いつも通り端っこでボーッと遊んでよ。別に心浮く訳でもなく学童生活が始まります。1年経った周りの子供は少し成長していて、なのにボクは何も成長してなくて。なんだか取り残されたような気持ちを感じながらそろそろと1人でも遊べる玩具を取りに。……あれ、無い。去年まではあったのにな…

一応周りを見渡しますが、一人の子なんて何処にも…ってあの子一人…それに…

目に入ったのはボクよりも小さな女の子。艶のある髪は肩口で切り揃っていて、清楚な感じが出ていますが、その顔はあまり優れません。まるで初めて学童に来たボクのような…

そういえば見慣れた顔でもありません。今年から、なのかな。というか、その手にあるの、ボクの相棒…
……まあボクのじゃないし。生憎声をかける勇気も度胸もありません。さっと諦め、誰も使ってない机に座って勉強する事にしました。元より面倒がって残してしまうのです、この時間を有効に使うべきでしょう。

その日は何も起こらず。ボクは別に面白くなかったけど、それが学童です。

次の日。いつも通り着いて、確認しますがもう無い。やっぱり端っこに座ってます。結構早い段階で来てるからボクより早いのって中々居ないと思うんだけど。2日占拠されるとムッときます。いいもん。ボクはそんな事もあろうかと家からいくつか遊べそうなプリントを刷ってきたのです。早速取り出して取り掛

「ねえ、勉強好きなん?君、昨日もずっとしてた…よね?」
「わひゃぁ!?……うぇ…?」

さっきまであっちに居たのに。気付けば隣にいました。飛び上がるボク。

「ウチは勉強てんで駄目なんよ。……それだけ。」
「…はぁ。……あの、今年から入った人?」
「うん。まあちょっとの間やろうけど…よろしく。秧って言うんよ。サナでいいよ。」
「えと…うん。サナ…ちゃん?」
「そうそう。えと…名前は?」
「よ、佳乃。」
「佳乃、ねぇ…分かった。それじゃ佳乃、ウチの勉強見てぇな?」
「…分かった。えっと…って6年生!?」
「ええ、年下かいな!?身長大きいからてっきり同い年やと…」

急に接近してきたサナちゃん。身長は130を切るぐらいの小柄。ボクでさえ3年生ぐらいだと思ってました。
小柄な6年生と当時大きめの年下のボク。出会いは急で、別れも急でした…

長いので明日!

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