• 現代ドラマ

8月2日

こんにちは。暗い話が続いたのでたまには小話を。
ボクの仕事場ではちょうど男女比が五分五分位で、たくさんの人がいます。休憩や水分補給だけでも沢山人が動くので騒がしいのですが、今日はなにやらいつもより楽しげな声が聞こえます。

「やっぱ夏は塩分補給大事だよなぁ…!」
「そうそう、だからいくらとっても怒られねぇよな!」
「まあ摂りすぎも良くねぇけど?というか時間が足りねぇか!」

塩分補給…大事だけどそんな盛り上がる話でもあるまいし…とか思ってそっちのおじ様達の輪を見てると…
目が合いました。左右に小さく視界を揺らして静かーに首を元の方に戻そうとします。

「日高ちゃん、日高ちゃんも塩分補給、行くか?」
「いや、日高ちゃんは補給しないだろー、見た事ないもん。」

いや、ボク人間だし塩分補給ぐらいするんだけど。なんかそう言われるとムッときます。ちょうど休憩時間だし、付き合ってあげますよ、塩分補給。

「え、行くの!?意外だなぁ…」

すっごい失礼!そのおじ様達の後ろをついて行きます。着いたのは…喫煙所?……ん…?

「ああ、やっぱエンブン大事だわぁ…」

エンブン…塩分……煙分…煙の事!?塩分補給ってもしかして煙分補給!?
いや、続くおじ様もどんどん吸い始めます。いやいや、ボクそんな言葉知らないんだけど!自分達だけ通じる造語がボクにも伝わると思うなよ!ボク吸わないし!

「あれ、吸わないの?火、忘れた?」
「……や……そ…の…」

1人だと会話も成り立ちません。だからといってちまちまと文字を書いていると休憩時間が終わります。ええ…と…
何か挽回出来るものは…飴?クッキー?何だこの作業着、おやつしか入ってないぞ!仕事しろ!

その時固い感覚が手に当たります。…もしかして…いやでも…ええい!一か八かだ…!
取り出したのはボクのお気に入り、ココアシガレット。うん、シガレットだもん。
とか言いつつ心はめちゃくちゃビビってます。思い切りボケ倒しに来たやつみたいになってますから。

手を震わせながら1本取りだし、口に運びます。咥えてそれっぽく……もう無理、顔が赤くなってるのを感じます。

「ははっ、こりゃ一本取られた!だが、それじゃ煙分補給じゃなくて糖分補給だな!」
「というかそれ美味いよなぁ…独特な風味と固さがいい感じに合うんだよな…酒に。」
「金がギリギリの時はツマミ代削ってこれにするのはよくあるよな?」
「そうなってんなら酒やめろよ!」
「馬鹿言っちゃいけねぇ、酒とタバコは一生止めねぇよ。」
「止められねぇんだろー?」


正義や同僚とはまた違った会話を聞きながら、1人ココアシガレットで煙分補給を楽しみました。

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