昨日の続きです。
トントンと扉を叩きますが、出てくる気配はおろか、人の気配も感じません。もういいよと正義を引っ張りますが、引くに引けない正義。
その時扉がガタッと音を立てます。正義が開けたようで…
「流石にこれはダメだよ、不法侵入だよ…！」
「いや、ご自由にお入りくださいって書いてるぞ…」
おかしいでしょ。夜に入っていいわけが無い。きっと閉め忘れてただけなんだと思うのですが、正義はお構い無し。まだまだ男の子なのか、ちょっとワクワクしてるようで。
「ボク動かないから。」
「…せっかく来たんだから見たいだろ？」
もしそうだとしても閉まってる以上どうしようもないと、思うのです。
頑として動かないボクを見て諦めたのか、かぶりを振ってこっちに戻ってくる正義。その時ボクの後ろから声が。
「ああ……夜桜を見に来たのかい？」
びっくりして飛び跳ねて段差を昇ってこけました。
痛みに呻くボクの後ろで正義が声の主と話し始めます。
「ええ。綺麗な桜が見れると聞きました。お邪魔してすみません。」
「いやいや、平日の夜だから人が来ないもんだと思って買い物に出ててね。こちらこそ申し訳ない。そこのお嬢さんも驚かせて済まないねぇ。」
社会人になっても未だに時々子供に見えるようです。今日もしっかり子供扱い。
「ま、せっかく来てくれたんだ。どうぞ見てってくれ。門を開けよう。」
まだ続くので明日！→