関東は東京の今年の七夕も、今のところ雨の予想です。
旧暦と太陽暦のあれやこれやですね、仕方ないっスね( ゚ω゚)
江戸時代の七夕は、主に商人が盛り上がった行事でした。
繁盛している店は七夕飾りを付ける竹の長さを競い合ったそうです。
吹き流しの飾りの他、スイカや魚、筆なんて飾りも下げられていますが、それが商店の宣伝代わりになったそうでございます。……そんな七夕飾りが人の上に落ちてきたという場面を書いた錦絵があったので持ってきましたよ。
乗り合い船の情景は、江戸の名所、鎧の渡しというところです。
そうです、後ろに見えるのは羽代のガワのモデルとなった三河西尾氏の下屋敷です( ゚ω゚)
「翠雨」作中は西尾氏にはほんとお世話になりまして……。「海鷹」でも引き続きお世話になります。
江戸の七夕はこの七夕飾りと共にホオズキもまた祭りのアイテムでした。
上段右上はそのホオズキ飾りを内職で仕上げている女性の絵です。髪の毛が一筋落ちたまま、自分の手仕事に集中している気迫が伝わってきます。彼女はホオズキの皮を向いて丸い実が剝き出しになるように糸で細工をしているようです。
そんな内職で作られたホオズキ飾りを持って、左下、若い娘さんと色男が七夕デートです。資本主義経済ですな!( ゚ω゚)
若い二人連れの後ろに置かれている糸車は、これも七夕飾りで、牽牛織姫の伝説にちなんだアイテムとなっております。
最後右下の絵ですが、「鵲(かささぎ)の渡せる橋の置く霜の」の歌にもある、カササギの橋です。カササギはカラスの仲間ですよ、鷺ではありません。
ただし、この絵のカササギはユーラシア大陸に産するニシコクマルガラスに模様がよく似ているのです。この鳥は日本にはほとんどいません。時たま台風とかに飛ばされた個体が九州辺りで観察されるぐらいですかね。
これには理由があり、実はこのイラスト、1910年にイギリスで出版された「Green Willow」という日本の昔話集に収録されたものです。
「The Star Lovers」と題された七夕のお話に添えられたイラストで、星のちりばめられ方に当時のヨーロッパの雰囲気が感じられます。
サマセット・モームやヘルマン・ヘッセの時代といえば通りが良いでしょうか。
「Green Willow」にはこの他、「花咲か爺さん」「道成寺」「八岐大蛇」「牡丹灯籠」という、なかなかに選者の趣味がにじみ出る昔話が収録されています。
……一つだけ原作が分からない話があるんですよね。
「The Singing Bird of Heaven」。男の子が枝に止まっている金鶏を弓で狙っているイラストで、姉か母か、若い女性がそれを背後から見守っている。
なんだろうなあ……( ゚ω゚)ワカラン
笹の葉さらさら、という歌とは少々趣の違った江戸の七夕、せめてひょうたん型にくりぬいた短冊で昔の風情を楽しみながら今年の七夕を迎えてみようかと思っております。