この度は、SF短編小説――『蚕』をご覧いただき、誠にありがとうございます。「サイエンス・フィクションとホラーを掛け合わせたら、面白いものができるのではないか」という安直な発想から執筆を始めた小説ですが、ある意味では自分らしさを演出できた作品だと考えております。100%の力を出し切ったとは言えませんが、大きな収穫を得るきっかけになったとは思います。このような機会を与えて下さった方々、また、拙作ながら好意的に受け入れて下さった方々に深く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
この『蚕』という短編小説は、私の中では挑戦的な作品に位置付けられております。百物語やクトゥルー神話物語を中心に書いてきましたが、怪奇や幻想を取り入れつつも表現できる小説の範囲を大きく広げてくれました。SF作品への素養が充分に培われているとは言い難い現状ですが、今後も注目していきたい世界だと考えております。SFとホラー小説が益々盛り上がってゆくことを願っております。そのために、拙いながらも、この『蚕』という小説を添えさせていただきたく存じます。
令和五年八月二十八日 胤田一成