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改稿進捗、ちょっと甲冑の話

 12話まで可読性向上改稿が終わりました。

 11話で出てくる敵兵のサレット+ビーヴァという装備ですが、これは15世紀の「ゴシックアーマー」という形式の装備、その一部です。フル装備でないのを見るに、純粋な騎士ではなく兵卒なのでしょう。

 さてこのビーヴァという首鎧ですが、本編で描写した通り首の後ろを防護していません。完全な騎士であれば鎖帷子(メイル)で護るなりなんなりしますが、ともあれ「首を全周囲鉄板で護る」という様式はまだ15世紀には存在しません(15世紀末期の過渡期を待たねばなりません)。全身プレートアーマーの時代に突入したというのに不思議ですよね。

 ともあれ、当時の人々も首の防護の重要性は認識していたようで、兜から鉄板を伸ばしてみたりと試行錯誤の様子が見て取れます。最終的に、僧帽筋に乗せる首鎧が主流になったのを見るに、兜から鉄板を伸ばす形式は首への負担が大きかったのかなと想像します(動かしづらいですしね)。ちなみにサレットの後ろに伸びたしころは、顎を上げると首を多少守ってくれます。咄嗟にそれが出来なかった敵兵くんは見事に首の後ろを鍋で打ち抜かれましたが。「完全な戦闘訓練は積んでないなコイツ」というのを臭わせる小ネタです。

 しかしこのビーヴァという「不完全な」首鎧は16世紀に突入しても生き長らえます。というのも、軽騎兵向けに胸甲と合体したものが使われるようになったのです。この様式では兜を着けない兵も散見されますが、腹から下は盾で守り、胸甲と首はビーヴァで護れば最低限致命傷は防げるわけです(なんせ騎兵が歩兵を相手取る時は下から突き上げる攻撃を喰らうわけで、頭には殆ど攻撃が来ないから省いても良いよねというストロングスタイル)。

 甲冑は高いので(そして任務にも影響される)、全身揃えられない場合はどこを装甲すれば死亡率が下がるか、という課題に当時の人々も頭を悩ませていた事が伺えて、何だかクルトと親近感がわきますね。

 皆さんもフェーデに備えて甲冑を買いたいけどお金が足りない……という時は参考になさって下さい。

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