宿屋の亭主?:ゲッ、痛い所を突いてきたな。変装を解いて若い男が登場。リトール:俺が民衆のヒーローこと義賊のリトール・デルヴィッヒ様だ。しかしヨルデリアさんよ、どうして懸賞金999億ギラがかかってんのに先に俺を捕まえようとしないんだ?捕まえてから情報を引き出したって良いだろうに。ヨルデリア:超絶ぶっちゃけた理由を言っても良いか?リトール:何だそりゃ。言ってみろよ。ヨルデリア:皇帝陛下が貴方に心底から憧れていらっしゃるんだ。目を輝かせ、皇帝を辞めたら義賊の団員になりたいとまでおっしゃった。999億ギラまで賞金をつり上げたのは、貴方に会いたくてしょうがないからだ。そんな陛下の所に貴方を連れて行ったらどうなる?リトール:クハハハッ、カンナヴァルシアス帝国の皇帝が俺の子分になるのか!ソイツは面白そうだ!ヨルデリア:頼むから止めてくれ。そんな事態、想像しただけで気絶しそうになる。リトール:まあしばらくは止めておいてやるよ。それで、だ。ヨルデリア:北方都督府は一体、何をやっているんだ?ザルバ・バルシャンは何を考えている?リトール:ある程度はアンタの想像に近いが、実態はもっと非道いモンだ。…北方都督府太守ザルバ・バルシャンは北方都督府統治下の町村に異常なまでの重税を課しているだけじゃあねえ。その重税を払えなかった連中に人身売買までさせている。親に子供を売らせているんだよ。タイガス:何だと!?太守ともあろう者がそのような所業を!許せん!皇帝陛下直々の帝国大法廷にて極刑を、リトール:うるせえなアンタ!少し黙ってろ!タイガス:ぐむ…。リトール:ま、俺達はそう言う訳で北方都督府のブクブクに太った金庫やら子供達が入れられている地下牢やらを狙っているんだよ。今夜には全部ご開帳してやる予定だぜ。ヨルデリア:なるほどな。私がその時に便乗しても良いだろうか。北方都督府にカチコミしてザルバ・バルシャンをぶちのめし、悪事を白状させて帝都カンナヴァリスまで連行したいんだ。リトール:クハハハッ、そう言う楽しいのは大歓迎だぜ!道案内だ、俺も同行してやるよ!ハルーン:うーん…。ヨルデリア:ああ、ハルーンはここにいた方が良いだろう。連戦になるだろうからね。ハルーン:いや、もの凄く楽しそうだから僕も付いていくよ、これでも腕はそこそこ立つから。ただ…。タイガス:ただ、何であるか?ハルーン:どうして太守がこんな非道い事をやっているのかな、と思って。帝国じゃ人身売買は問答無用で死刑じゃあないか。でも太守ともあろう人間がこんな非道い事をやってさ。いずれ露呈しない訳がないのに、どうしてだろうって。ヨルデリア:それはザルバ・バルシャン本人に聞こう。タイガス:私も行くのであるぞ!ヨルデリア:それは…嫌だ。ユーディン様がタイガスをそんな所に連れて行ったと知ったら問答無用で私を馘首にするから…。ハルーン:ユーディン様?リトール:ユーディン・ゴドフロワ。帝国の三大貴族のゴドフロワ家の当主で、今の摂政で、タイガスの実の兄貴だよ。ハルーン:えっ。タイガス、君、すっごいセレブじゃないか!タイガス:セレブだからこその責務である!非道い重税に苦しむ人々も!親に売られる子供達の涙も、断じてあってはならないものなのである!ハルーン:…。