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第100話「大人達の相談。暁光帝の知らないところでいろいろな話が始まっているようです。」を掲載させていただきました

ここまで読んでいただきありがとうございます♪

大事件が解決して海水浴場に平和が戻りました。
よかった、よかった。
でも、お話は続きます。
今度は味方だった人間達が相談を……
はい。光明神の教えに問題があるようです。
ここでまとめてみますと…
光明神ブジュッミ:平和を尊んで集団主義を標榜して個人主義を嫌う。
暗黒神ゲローマー:競争を尊んで個人主義を標榜して集団主義を嫌う。
光の神は「みんな仲良く」「互いに助け合って末永く幸せに」と謳います。
闇の神は「他人に頼らず」「互いに競い合って強くなれ」と謳います。
それぞれ、言っていることはけっこう当たり前でして、別に暗黒神が悪というわけではありません。
これって昔ながらの思想の潮流なんですよね〜

例えばインドのヒンドゥー教とペルシアのゾロアスター拝火教って元は同じ1つの宗教だったって話がありまして。
厳しい修行と個人間の競争を嫌ったインド人はヒンドゥー教を選び、逆に平和を唱えてばかりで集団の和を押し付けられたと感じたペルシア人はゾロアスター拝火教を選んだらしい。
実はこの手の思想の潮流ってずっと続いているんですよね〜
多くの思想がこの手の価値観を元に分類できます。
ヨーロッパの近代化でド派手に繰り広げられた宗教戦争、あれ、歴史の授業で習いましたが、とにかくわかりにくい。先生は「わずかな教義の違いでカソリックとプロテスタントが争った」としか、説明してくれず、学生は「そんなことで殺し合いをするなんて白人は本当にバカなんだ」としか思いませんよね。
日本人にはわからない?
いえ、ちゃんと説明すればわかるんじゃないでしょうか。
カソリックを「金儲けなど個人間の競争を抑えるための身分制を支持する思想」、プロテスタントを「聖書の教えのみを信じるべしとの建前の下に伝統的な身分制を否定して、経済活動の自由、すなわち個人間の競争を尊ぶ思想」と解釈し直せば、どうでしょう?
ほら、ずいぶんとわかりやすくなってきませんか。
そりゃ、互いに絶対許せない系だとわかりますよね。
伝統的な身分制を否定されて「生まれで個人の身分を決定するなんてズルやめろ!」「この世は実力なんだ、弱肉強食なんだ、競争しろ!」なんて言われたら既得権益を享受してきた層だけでなく、単純に争いを嫌うタイプの人々も「干渉してきやがって! あいつら、許せねぇ!」と考えたのかもしれません。また、伝統的な教会の権威を否定されて旧来の文化に馴染んできた層が反発することもあったでしょう。
それで、追い出されたプロテスタントの一派ピューリタンが新大陸アメリカ合衆国で全力で経済活動に興じた…自由主義経済圏の発展ですね。
その潮流がヨーロッパに残り、経済活動の自由≒金儲けの自由を尊んだユダヤ教徒、すなわちユダヤ人が金儲け≒資産運用に走った。
ヨーロッパで伝統的なカソリックが嫌った金儲けですよ。
最近じゃアニメや漫画でも人気の七つの大罪の1つ、グリードこと “強欲”、すなわち金銭欲ですね。キリスト教はこの金銭欲を嫌っていましたから、経済活動に勤しむこと自体が“罪”だったわけです。
それで第一次大戦後のインフレと不況で失業した人々が金儲け≒資産運用に走るユダヤ人に反発、新しい社会主義政党であるナチ党が興り、ユダヤ人排斥に動いた…と。
ドイツでナチ党の反ユダヤ思想を容認する動きがあったことも、ロシア帝国で反ユダヤ感情が強くなったことも、“身分制の否定”や“個人間の競争の奨励”を嫌った…ってことなのかもしれません。
そして、現在まで続くインド亜大陸の身分制である“カースト制”…これは個人間の競争を嫌うインドの傾向が顕著であることが原因なのでしょうかね。
生まれで身分を決定し、その後の競争を抑制する…以て、社会の安定を図る、と、まぁ、古代インド人の知恵…なんですかねぇ。
「インド旅行すると人生観が変わる!」なんて話は何度となく耳にしていますが、この辺なのかもしれません。
ヨーロッパの封建制やインドのカースト制度、生まれで庶民と貴族と神職といった身分が決まる…「なんて理不尽な!」と思いますか。
これら、身分制はたしかに理不尽なんですが…楽なんですよ。
想像してみてください。
先生:「キミはパン屋に生まれたから将来はパン屋になるんだ」
学生:「へぇ、そっか。じゃあ、もう勉強しない。パン焼くわ」
ね、気楽でしょう?
女性は必死で化粧しなくてもよく、男性は無理に勇ましいことをやらなくても結婚できます。身分制は異なる身分から配偶者を求めたりしませんからね。親が嫁/夫を探してきてくれます。
ね、気楽でしょう?
その代わり、自由がありません。
自由競争は悪なんです。
「みんな仲良く」「互いに助け合って末永く幸せに」って思想の下では“みんな”すなわち集団の和を乱す自由競争は許されません。
そう考えると…
光明神ブジュッミ系:ヒンドゥー教、キリスト教カソリック、ギリシャ正教、フランスのユグノー虐殺、共産主義など。
暗黒神ゲローマー系:ゾロアスター拝火教、キリスト教プロテスタント、英国の市民革命、資本主義など。
…こんな風に分類できるんじゃないでしょうか。
この手の思想の潮流、争いの原因って要は「国家は国民を支持するためにあるシステムである」という考えと「国民は強力な国家を実現するための要素である」という考え、すなわち“国家論”、これのぶつかり合いなのでしょう。
要するに「ニワトリが先か、卵が先か」って話ですねwwww
けっこうわかりやすい話ではあります。
考えてみてください。
どうして国家は衰退して滅ぶんでしょう?
パッと思いつく限りでもヨーロッパのいろいろな国々が興っては滅び、興っては滅び。
とりわけ、中華王朝なんてどれだけ生まれては滅ぶのか。毎回、最後の方は幼帝が即位して政治が腐敗して反乱が起こって皇帝が討たれる。
中国の歴史は金太郎飴www おまいら、幼児を皇帝に祭り上げんなwww
そういうわけで歴史を概観すると……
進取の気質に富んだ立派な英雄が旧弊を打破を掲げて革命を起こし、既得権益を享受する層を一掃して暗君を倒し、新たな国家を打ち立てる。英雄は王となり、英雄の仲間達は貴族として新生国家を支える。
すると、人々は英雄を称賛して新たな王国で希望に満ちた生活を享受する。
けれども、それやっても百年くらいでやっぱり貴族は腐敗して政治が乱れて暗君が政治の中枢を担って…
はい、最初に戻りますwww
これって光明神ブジュッミ系と暗黒神ゲローマー系の思想がくるっくる入れ替わってるだけなんですよね〜
既得権益を享受して「みんなで幸せになろうよ」「いつまでも仲良く平和に」って考える暗君とデカダンな貴族は光明神ブジュッミの系列。
「生まれで身分を決めるんじゃねぇ!」「生まれに関わらず互いに競争して実力を示せ!」って考える革命派の若者達は暗黒神ゲローマー系列。

1,「腐敗した貴族どもを打倒し、実力のあるものが評価される国を打ち立てるんだ」と暗黒神ゲローマー系列の英雄と仲間達が国家を興す。
2,「競争を押し付けられると息苦しい」「優れた英雄と仲間達の子孫は尊重されるべき」と光明神ブジュッミ系列の貴族と王家が唱えて社会は安定期に入る。
3,「優れた英雄と仲間達の子孫は高貴な生まれの貴族である」「国民が競争するとか不和をもたらしかねないから商業ギルドを作って競争を抑制しよう」と自由競争を排する貴族が腐敗して、英雄の子孫である王家も無能な暗君を立てるようになる。
4,はい! おめでとう! 1に戻ります\(^o^)/

自由競争を重んじる実力主義、平和と調和を重んじる集団主義、これらの思想が人間を通じて交互に実現されて歴史と文化が作られていゆく。
理想と現実? 車の両輪?
こうして血を流しながら人類は進歩した?
しかも、その間、カソリック、プロテスタント、ギリシャ正教、共産主義、自由主義、etc、etc…言葉ばかり複雑になって、互いに自分が正しいとあ〜でもないこ〜でもない議論を重ねて、複雑怪奇に……
学ぼうとする人々には「おまいは○○教の本質がわかっていない」と煙に巻いて……
へ〜、あなた様の思想ってそんなに奥が深いんですか?
偉そうにのたまう割にはン千年前からあんまり変わってないように思えるんですけど?
ええ、まぁ、そう考えると人類、何千年も前から同じような価値観の相違でずーっと争ってきたわけでwww
実はあんまり進歩してないのかもしれませんねぇ……

ああ、みんな大好き、“男尊女卑”☆
「男は強いから女を守らなくちゃいけない」「女は弱いから家事をして子供を育てて家を守るべき」って思想、正式名称は“五障三従の教え”と言います。
古代インドの王様が言い出したことですねwww
こいつがヤバイのは人種差別と根っこが同じだからです。
人間を“生まれ”という努力ではどうしようもない基準で評価する人種差別と同じく、“性別”というこれまた努力ではどうしようもない基準で評価するのが男女差別w
思想としての根っこは同じですよね〜〜
性別という“生まれ”で人間を規定して役割や職業を制限するわけですから、五障三従の教えは「みんな仲良く」「互いに助け合って末永く幸せに」の光明神ブジュッミ系列ですね。
男女で個人の役割を規定して「社会に出てきつい仕事をするのは男」「家にこもって子育てするのは女」とやるわけでww
小生が大正ロマネスク嫌いなのはこの五障三従の教えがやたらとはびこっていたからですぉwww

でも、いいんです。
現実の世界で、現実の宗教や現実の政治システムがどう運営されていようと小生の物語『人化♀したドラゴンが遊びに来るんだよ』には関係ありません。
要は現実の歴史と構造が物語の世界設定のモデルになりうるか、これだけですからねw
そして、物語の骨子を形作る思想のぶつかり合いを設定するにはこういう伝統的な思想の潮流が役立ちますからww

あぁ、そういうわけで正直な話、小生は政治オタクが嫌いです。
同じオタクでも連中は考え方の基準がまるで違います。
政治オタクは物事を「正しいか」「間違ってるか」で考える。
いいんじゃありませんか。
それで社会運動にのめり込んで現実の社会を変えてゆく。
有意義だし、社会の進歩につながることでしょう。
でも。
押し付けてくるな。
小生ら、普通のオタクは漫画読んでアニメ見て、笑ったり泣いたり。
そして、小生ら、普通のオタクは物事を「面白いか」「つまらないか」で考える。
政治オタクの喧伝する「正しい考え」にはあんまり興味ないんです。
その「正しい考え」で面白いものが描けるのなら必死で学びますけどね。
あんまり、面白くならないでしょwwww
例えば、【ガールズラブ】を嗜好する人々、百合好きの中にも現実の政治や社会運動に絡めて「もっとフェミニズムを理解すべきだ!」と唱える一派がいましたっけ。
連中の心の中には“正しい百合”が存在していて、「フェミニズム運動に準拠して」「女性作家が描く」、そういう作品が“正しい”んだそうですww
ん〜〜
貴卿らがその手の作品を“好き”なのはとてもいいんじゃありませんか〜
でも、小生らはそれを“正しい”とは思いません。
小生らは作品を“面白いか”、“つまらないか”で判断するんです。
“正しい”とか、“間違っている”とかは…まぁ、あんまり考えませんね(^_^;)
その辺、“正しい百合”論者の方々は好きにしてください。
そういう作品を高尚だと思うのも、自分は意識が他より高階梯にあると思うのも結構ですよ。
只、貴卿らが貴卿らの手で描いた面白い作品を見せてくれない限り、小生は貴卿らの“正しい百合”には感心しませんよ。
ああ、ちなみに。
「フェミニズム運動を理解しないで」「男性作家が描く」作品は“間違っている”んだそうです(^_^;)
最初、あの主張を聞いたときはのけぞるほどぶったまげましたっけwwww

オタクがオタクを差別する。
「おまいはフェミニズムを知らないから」「おまいは女性じゃないから」、だから、「おまいは百合を描いてはいけない」んですってよ、奥さん。
うわぁ……
百合好きが高じて政治オタクになった?
“正しい百合”論者には驚くばかりですよwww

かつて、ガールズラブ界隈を荒らしまくって多くの百合好きを当惑させた“正しい百合”論者はおそらくポリコレ、ポリティカル・コレクトネスって奴の走りだったんでしょう。
小生はポリコレを激しく嫌悪します。
作品を「面白いか」「つまらないか」で評価する創作界隈に「正しいか」「間違ってるか」という異質な価値観を持ち込む姿勢を感心できないからです。
そして、懸念します。
ポリコレの価値観は創作姿勢としては甘えになりかねない。
「あのヒトの作品はつまらないけれど正しい」「このヒトの作品は面白いけれど間違ってる」…こんな評価を下されてしまいかねいのです。
ゲームでも、漫画でも、アニメでも、つまらないけど正しい作品が氾濫したら界隈そのものが衰退してしまう。
ポリコレをかざす輩は。
その作品が「面白いか」「つまらないか」という創作の世界に「正しいか」「間違っているか」という異質な価値観を持ち込む無作法な闖入者です。
明らかに駄目ですね。
場違いです。
もしも、最近の言葉を用いることを許していただけるのならば。
「スレ違いなので逝ってよし」ですww
あれ? 最近は“逝ってよし”使わなくなりました?

そういうわけで光の神の教えだからといって正しいわけでもなく。
また、瓦礫街リュッダでは悪の教えとされる暗黒神ゲローマーの暗黒教団も別にそんなに悪いわけではありません。
ついでに言うと、世界征服を企む悪の原点、暗黒教団のトップである“魔王”もそこまで悪人ではありません。単純に“個人主義”と“実力主義=個人間の競争の奨励”を標榜しているだけで、魔王の勝利条件は世界中の人間を暗黒神の信徒とすることです。
別に魔王は世界を滅ぼそうとは考えていません。
そっちは破壊神の仕事ですね。
あ、作中ではまだ出てきていませんが破壊神、ちゃんといます。
いつも常に“世界の破壊”を志向して、ついにそれを実現しようと暴れだしたため、破壊神は世界の何処かに封印されてしまいました。

……
…………
ええ、まぁ、破壊神は“世界の破壊”を志向しただけです。
実現しちゃってるのが我らが主人公♀暁光帝ですね\(^o^)/

さて、そういうわけで次回は『わぁい、団体さんのお着きだぁ☆ いえ、暁光帝が招いたわけではありませんにょ。』です。
請う、ご期待!

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