…屋台の鈴カステラとか、かものはしステラとか言うから…!(責任転嫁)
あ、特にオチとかないです。
―――――
気づいたら俺の手には鈴カステラの袋が握られていた。
一体何がどうなっているのだろ……っ?!
俺の目の前に突然着ぐるみを着たステラがトコトコ歩いてくる。
黒くて大きなクチバシ、茶色の体毛、水掻きのような手足。
……カモノハシ?
いや、前世でも実際に見たことはないが。
にしても可愛いすぎないかこれ?
かものはしステラ? は、ピタリと止まり、じっと俺の手にある鈴カステラを見つめている。
…欲しいのだろうか。
「…パ……えと、く…くわっ、くわっ!」
今普通にパパって呼ぼうとしたな。
しかし、カモノハシの鳴き真似なんだろうが…どんな鳴き声なのか知らないんだが。当然かものはしステラ? も知らないだろう。
適当か?!
くいくい
「ん、どうした?」
袋から鈴カステラを取り出そうとしてると、かものはしステラ? が服の裾を両手の水掻きで挟んでひっぱってくる。
あー……。
座って欲しいのか。
俺がかものはしステラ? の前に胡座をかいて座ると、かものはしステラ? が膝の上にぴょんっと飛び乗ってくる。
「パ……くわっ」
もう普通にパパで良くないか?
俺が鈴カステラを一つ摘まんで、かものはしステラのクチバ……口の中に放り込む。
それをもくもくと幸せそうに食べるかものはしステラ?
見ているこっちまで幸せになるな。
「くわっ」
「はいはい」
俺は鈴カステラをもう一つかものはしステラ? に放り込んだ。
…どうでもいいがその鳴き声はアヒルじゃないか?
ま、いいか。
―――――
「……」
「…くわ…」
リビングのソファでグレイとステラがお昼寝をしている姿をイスカ、フィオ、アリアメルが微笑ましそうに眺めていた。
「二人共凄く幸せそう」
そう言って二人と同じくらい幸せそうに微笑むアリアメル。
「うん」
「ほんと幸せそう。どんな夢みてるんだろ」
「…なんか、カモノハシがどうとか言ってたけど」
「何それ?」
「…さあ?」
アリアメルは二人にそっと毛布を掛けた。