何十年前だったろうか、友人の発案で『リザード現代要語辞典』を作ろうと、仲間数人で競い合い、まとめ上げようとしていた時期がある。「要語」という言葉に今でも新しさを感じるが、途中まで実際に作り、ただ挙げられただけに終わった「項目」の数々を読み返すと、忸怩たる思いがある。
例えば「ワープロ」。当時は日本語ワープロを使っていた。信じられないだろうが、液晶は8文字表示(英字は16文字)、フロッピーディスクさえ利用出来ない、外部記憶装置なし。内部記憶はA4用紙二枚分のみ。たったの8文字しか見えないので、文書やましてや図形・表を作ろうとすれば、ほとんど「想像力」の世界だった。毎回プリントアウトして確認するしかないが、そこに至るのがそもそも至難の業。…という「ワープロ」も項目の一つ。今となっては「要語」としては恐らく取り上げないだろう。
この辞典の試みは自然消滅、友人たちとも音信不通となってしまった。
やはり昔、記憶している方もおられるかも知れないが、「戦争」と「テロ」を的確に定義できたら日本円にして何億円かの「懸賞金」が貰えるような「提起」があった(正確な詳細は忘れた)。「貰えた(上げた)」という記事を見かけないし、その後の話は不明。莫大な懸賞金を出そうとする者が現れるほど、この定義は難しい。以来考え続けてきたが……。
最近また、このカクヨムを知ることで、もっと真剣に試みてみようかと思い始めた。だから、実は、この二語が本稿の「全て」なのである。しかしそれだけでは読んで頂けない。考えて頂けない。かつて頓挫した苦い経験も甦った…ということからさらに続けている始末。個人の力には限りがある。そうして、「終わり」など決して見えない不毛な努力と言えるだろう。