皆さんいかがお過ごしでしょうか。リアルが多忙過ぎて、溶けかけていた夜依です。作品の更新が滞ってしまっていますが、身になにかがあったというわけではありません。少し忙しさも落ち着いてきたので、また、少しずつ更新していきます。何卒宜しくお願い致します。
美少女ギャルのハロウィンSSがありますので、もしよろしければこちらもお楽しみください。時系列については本編1年後くらいの認識で良いのかと。
ハロウィンの一幕
「がおー! トリックオアトリート!」
「えっと……、吸血鬼ってがおーでいいの?」
芽衣に誘われるがままにやって来た廣瀬家。そこで待ち構えていたのは、少し露出の多さが心配になる吸血鬼のコスプレに身を包んだ芽衣だった。突然の出来事に驚くあまり零れた適当な言葉に少し頭を悩ませたようだが、「まあ、いいんじゃない? それより、トリックオアトリート!」と開き直ったように口にする。
カバンには一応持ってきておいたお菓子があるが、いたずらと答えたときの反応も気にならないわけではない。
「ちなみに、いたずらってなにするの?」
多分お菓子を貰って終わりにするつもりで、いたずらなんて考えてないことは承知の上で少しのいたずら心に任せてそんなことを口にしてみれば、えっ? と小さく零れた声が耳に届く。
「えっと……」
「吸血鬼だし、首にかみついて血を吸うとか?」
「じゃあ、それで! ほら、食べちゃうぞー!」
付けた牙を見せるように大きく口を開いてゆっくりと距離を詰めてくる。そうして牙と首筋までの距離があと数センチになったところで、どたばたと足音が聞こえてくる。
「お兄ちゃん、トリックオアトリート!」
足音の正体は、俺がやって来たことに気付いた朱莉ちゃんのものだった。とんがり帽子を被って、小さな箒を片手に携えた魔女っ娘の元気な声に驚いたようで、芽衣の身体は大きく飛び上がる。
どうやら芽衣をからかうのもここまでらしい。
「はい、お菓子」
カバンから取り出したお菓子を小さな魔女っ娘に渡してあげれば、魔女っ娘は一気に上機嫌になる。
「ありがと!」
「どういたしまして」
さっそく袋を開けてお菓子を食べながらリビングに戻っていった朱莉ちゃんを見送ると、少し不満げな表情を浮かべる芽衣が視界の片隅に映る。
「ごめんって。はい、お菓子」
「むー、あるなら最初から渡してよ。まあ、ありがと」